本記事は、下記の医学書などの確かなエビデンスに基づき、医師が執筆いたしました。
「日本医師会雑誌 脳血管障害の臨床」

一度発症したら、その人の人生を一変させてしまう「くも膜下出血」。

くも膜下出血になった後の予後の状況と、残ってしまう後遺症はどのようなものがあるのでしょうか。

今回は、くも膜下出血になった後のリハビリの方法と、再発を防ぐ注意点と併せて紹介していきたいと思います。

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くも膜下出血の予後の現状は?

脳卒中のうち、くも膜下出血は数%の頻度とそれほど多くはないのですが、その予後はあまりよくありません。

元気だった人が突然亡くなる突然死の数%がくも膜下出血といわれています。

 

くも膜下出血は起こしてから、1ヶ月以内におよそ50%死亡するといわれてるほどの恐ろしい病気です。

しかも、くも膜下出血の20%は、生存出来ても後遺症が残ります。

その結果、社会生活に支障を来す事態になります。

 

くも膜下出血の主な後遺症

くも膜下出血を発症したら、どのような後遺症が考えられるのでしょうか。

ここでは主な5つの後遺症について紹介していきます。

運動障害

運動障害とは、麻痺のことです。

くも膜下出血では、片麻痺(かたまひ)とよばれる右半身、もしくは左半身の麻痺が起こります。

 

麻痺が起こるのは、くも膜下出血を起こした脳の側の反対側です。

麻痺が生じると、歩きにくくなったり、手を上手に使いにくくなったりしますが、ある程度はリハビリテーションで回復が期待できます。

 

言語障害

左脳にある言語中枢のあるところにくも膜下出血がおこると、話をしたり、文字を読んだ入りする言語能力が障害されます。

 

嚥下障害

舌や喉などの、飲み込みに関係する筋肉が麻痺してしまい、食べ物を飲み込むことが難しくなります。

 

感覚障害

感覚を司る神経が障害された場合は、感覚に痺れが生じます。

これも片麻痺が起こった側と同じ側に起こります。

 

視力障害

視野が狭くなったり、視野の半分が見えなくなる半盲とよばれる症状が現れます。

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くも膜下出血のリハビリ方法

くも膜下出血のリハビリ方法は、該当する障害に対して行っていきます。

どのような方法なのか、それぞれ見ていきましょう。

運動障害に対するリハビリ

関節を理学療法士が動かすことで、拘縮して動かなくなることを防ぎます。

慣れてくれば、自分自身で動かすことを試みる様になります。

 

また、使わなくなったことで低下した筋力を回復させる訓練も行ないます。

座ったり立ったりすることで、バランス良く姿勢を保ったり、手足の位置や向きを変えてもバランスが崩れたりしない様に練習をします。

 

感覚障害に対するリハビリ

手足を動かしたり、姿勢のバランスをとったりすることで、感覚の回復を図ります。

また、モノを触ってみるのもリハビリのひとつです。

 

日常生活習慣に対するリハビリ

起床したり、顔を洗ったり、歯を磨く、トイレに行くなどの、日常生活をおくる上で欠かせない行動を練習します。

 

摂食嚥下障害に対するリハビリ

摂食嚥下障害とは、食べ物を食べたり飲み込んだりすることが上手にできなくなることです。

舌や唇を上手に使い、歯で噛む方法をトレーニングするだけでなく、食事のときの姿勢や食べる時に使う道具、食べ物の形状の工夫したりします。

適した食べ物の形状を知るために、いろいろな形態の食事に造影剤を含ませてそれを飲み込んでもらう検査をすることもあります。

 

言語障害に対するリハビリ

言葉を話したり、他者の言葉を聞いたり理解したりするためのリハビリテーションも行なわれます。

くも膜下出血の再発を防ぐために

くも膜下出血の再発を防ぐためには、以下のことに気をつけましょう。

原因となった病気の治療

くも膜下出血は突然起こる病気ですが、そこに至る過程にはさまざまな病気が隠れています。

くも膜下出血だけが起こっているのではありません。

 

くも膜下出血を引き起こす危険因子としては、高血圧症・脂質異常症(高脂血症)があります。

高血圧症は、くも膜下出血の原因となる脳の血管に生じた瘤を破裂させてしまうリスクをはらんでいます。

また、コレステロールを低くすると脳血管障害の発症が低下することから、脂質異常症も脳血管障害のリスクファクターとして考えられています。

 

こうした病気を適切な状態に治療することで、くも膜下出血の再発を予防しましょう。

 

生活習慣の見直し

タバコやアルコールも、くも膜下出血の危険因子に含まれています。

喫煙者では、非喫煙者と比べて男性で3倍、女性で約5倍くも膜下出血が発症しています。

過剰なアルコール摂取者でも、そうでない場合と比べて飲酒量に比例して発症例が上昇しています。

喫煙者は禁煙を、そしてアルコール摂取者は、飲酒量を減らしましょう。

 

規則正しい生活をおくり、そのうえで適切な運動を行なうことも大切です。

不規則な生活は、疲労やストレスを蓄積し、体力を低下させたり、食べ過ぎや飲み過ぎの原因になったりします。

血液がドロドロにならない様に、水分もきちんと摂取する様にしてください。

まとめ

くも膜下出血は、突然死の原因のひとつにもあげられている病気です。

およそ半数が1ヶ月以内に亡くなるといわれるほど予後はよくありません。

しかも、生き残っても後遺症が残ることも珍しくありません。

 

くも膜下出血の後遺症は、運動障害、言語障害、嚥下障害など、社会生活を送る上で欠かせないところに現れるのが特徴です。

そのため、回復した後はリハビリテーションが不可欠です。

そこで、くも膜下出血の原因となる病気にならないようにすることで、もしくはなっていたとしても適切な状態を保つことで、くも膜下出血を予防しましょう。

参考文献:
「日本医師会雑誌 脳血管障害の臨床」

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