本記事は、下記の医学書などの確かなエビデンスに基づき、医師が執筆いたしました。
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突然発症し、その人の命までも脅かす「くも膜下出血」。

しかし、普段からその原因と予防法を理解していれば、発症を防ぐことができるかもしれません。

今回は、くも膜下出血の原因と予防法に加え、遺伝の可能性にまで言及してみたいと思います。

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くも膜下出血の原因

くも膜下出血には大きく以下の4つの原因があります。

それは何も特別なことではなく、誰にでも起きうることなのです。

脳動脈瘤

脳は、たくさんの酸素と栄養を必要としているため、非常にたくさんの血管、すなわち動脈や静脈が集まってきています。

脳動脈瘤とは、脳に影響や酸素を供給している動脈にできた血管の瘤のことです。

脳動脈瘤が破裂するとくも膜下出血が起こります。

 

脳動脈瘤の破裂がくも膜下出血の原因としては最多となり、くも膜下出血のおよそ80%がこれが原因といわれています。

脳動脈瘤自体は、多くの健康な人にも存在しているので珍しいものではありません。

これが年とともに少しずつ大きくなっていき、ある日耐えきれなくなって破裂するに至るのです。

 

脳動脈瘤は、脳の中ならどこにでも生じます。

その中でも最もよく生じる箇所は内頸動脈と後交通動脈の分岐部で、くも膜下出血の25〜35%がここで生じています。

次いで多いのが前交通動脈で25〜35%、中大動脈で10〜15%と続きます。

 

動脈瘤は破裂していない状態であっても、CTやMRIなどの画像検査で見つけることが出来ます。

 

高血圧症

高血圧症に対して適切な治療が行なわれていなければ、過度な血圧の上昇によりくも膜下出血を起こすことがあります。

 

動静脈奇形

動静脈奇形とは、動脈と静脈が繋がっている奇形のことです。

脳の血管に生じたものは脳動静脈奇形といい、若年者のくも膜下出血の原因として多いです。

 

脳動静脈奇形部分には、血液の流れの関係で強い血圧がかかります。

このために血管壁が破れて出血を起こしやすい特性があります。

こうして、くも膜下出血が起こります。

ケガ

外傷により頭部に衝撃を受けると、脳は基本的に頭蓋骨の中で浮いているため、衝撃によって加わった力により動きます。

そのとき脳をつないでいる血管が損傷すると、くも膜下出血を起こしてしまいます。

 

 

くも膜下出血にならないための予防法

くも膜下出血を起こさないためには、くも膜下出血を引き起こす可能性のある病気や習慣を適切に管理することが大切です。

高血圧症の改善

高血圧は、くも膜下出血をはじめとする脳血管障害の最大の危険因子です。

適切な状態に血圧をコントロールすることは、くも膜下出血を予防するために最も大切なことです。

 

糖尿病の治療

糖尿病も脳血管障害の危険因子のひとつです。

脳血管障害には、くも膜下出血のような脳出血と、脳の血管が詰まる脳梗塞があります。

 

糖尿病は、脳梗塞の危険因子となりますが、反面、脳出血は糖尿病患者さんには少ないことが知られています。

しかし、脳血管障害の危険因子には変わりありません。

糖尿病であるなら、適切な状態にするように治療を受ける様にしましょう。

 

脂質異常症の改善

脂質異常症とは、高脂血症のことです。

コレステロールを下げると脳血管障害の発症が減少することから、脂質異常症が脳血管障害の危険因子であると考えられています。

 

禁煙・過度のアルコール摂取を控える

喫煙者の場合、くも膜下出血のリスクは、非喫煙者と比べると男性で2倍、女性で4.7倍になります。

 

アルコールとの関係では、飲酒量に比例してくも膜下出血の発症は増加します。

過量のアルコール摂取者の場合は、発症率は4.3倍になります。

 

タバコを吸わないこと、アルコールの過度な摂取に気をつけることが大切です。

 

肥満の解消

肥満は、心臓血管系の疾患のリスクとして知られています。

くも膜下出血に対しては直接的な危険因子か否かは明確にはなっていません。

しかし肥満は、高血圧症、糖尿病、脂質異常症などに直接的に関与しています。

 

これらはくも膜下出血の危険因子です。

肥満であるならば、食事管理や適度な運動を習慣づけて、改善させておいたほうがいいでしょう。

 

 

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くも膜下出血と遺伝の関連性

くも膜下出血の原因のひとつである脳の血管に生じる瘤は、どうして生じるのか明確なところはわかっていません。

しかしながら家族内に、もしくは親戚を含めた家系内で、脳動脈瘤が認められる傾向があることがわかっています。

 

このとき、そうでない家系の人と比べてくも膜下出血が生じる頻度が2倍以上になります。

この点から、くも膜下出血が生じる原因に遺伝的な要素が絡んでいることが考えられています。

まとめ

くも膜下出血は脳血管障害のひとつです。

その原因は、脳動脈瘤という脳の血管に生じた瘤が破裂して起こる動脈瘤破裂が最も多いです。

また、若年層のくも膜下出血の原因として、動静脈奇形もあげられます。

交通事故などの外傷によって頭部に衝撃を受けることによっても起こります。

 

外傷によるくも膜下出血を防ぐことは難しいですが、それ以外の原因で起こるくも膜下出血は予防できる可能性があります。

具体的には、高血圧症や脂質異常症などのくも膜下出血を引き起こす可能性のある病気を、適切な状態に治療しておくこと。

タバコやアルコールの摂取を控えること。

適度な運動や食事の管理を行ない肥満を解消することなどです。

 

くも膜下出血は、脳血管障害のなかでも予後が最も悪いもののひとつです。

日頃の健康管理をしっかり行ない、くも膜下出血を起こしにくくするように心がけましょう。

参考文献:
今日の治療指針
脳血管障害の臨床
必修内科学
医学大事典

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