地蔵盆という慣わしはご存知ですか?
都心近郊にお住まいの方には、馴染みが薄いかもしれませんね。
ただ、地方に遊びに行ったり、引越しをしたときに、地蔵盆に触れる機会があるかもしれません。
今回は、地蔵盆の由来やお供え、そして遊び方についても解説していきたいと思います。
地蔵盆の由来とは?
地蔵盆は町内や道沿いにあるお地蔵様を清め、新しい前掛けを着せお供え物をして祀る行事で、特に近畿地方では夏の風物詩と言えます。
お地蔵様は古くから子どもの守り神として信仰されており、町内の子どもたちが中心になって行われることが多いです。
地蔵盆の発祥とされる京都では、子どもが産まれると男の子は白、女の子は赤の提灯に名前を書いて奉納します。
提灯は、その子どもが毎年地蔵盆に参加している間は毎年飾られます。
また、僧侶を呼んで子どもに向けた読経や法話を行う地域もあります。
お地蔵様に、子どもの成長や幸福を願うようになった由来として、こんな逸話があります。
そこへ鬼がやってきて、石の塔を壊してしまいます。子どもはまた一から石を積み上げていき、成仏することもできません。
哀れに思った地蔵菩薩は、自分が子どもの親となり導くことを誓ったという話です。
また、平安時代の歌人「小野篁(おののたかむら)」のこんな話もあります。
小野篁は、昼は朝廷に仕えていますが、夜になると井戸を通って地獄へ行き、閻魔大王のもとで裁判の補佐をしていたと言われます。
ある日、地獄で苦しむ死者の代わりに、閻魔大王が自分の体を地獄の炎で焼いて苦しんでいるのを目撃します。
閻魔大王は地蔵菩薩の化身とされており、あらゆる人を救うべく、苦しむ死者の代わりに自分が焼かれていたのです。
そんな閻魔大王を救うために、小野篁が供養を始めたのが地蔵盆の由来ともされています。
このような話が広まり、地蔵盆も一般的に行われるようになったのですね。
厳密には毎月24日が地蔵菩薩の縁日(神仏の世界とこの世の縁がある日)とされており、地蔵会(じぞうえ)、地蔵祭と呼ばれます。
その中でも地蔵盆は、お盆の時期に最も近い旧暦の7月24日の地蔵祭を指します。
そのため本来は新暦の7月24日前後に行うことが正式ですが、月遅れで8月24日前後に行ったり参加者に合わせて土日に行う地域も増えています。
地蔵盆のお供えについて
それではここから、地蔵盆にたいしてのお供えについての知識について、解説していきましょう。
お菓子について
地蔵盆は子どもが中心となる行事です。
お供え物は最後には子どもたちがいただくことになるので、お菓子やお餅をお供えすることが多いです。
お供え物なので、焼き菓子や砂糖菓子、個包装のお菓子など外でお供えしていても傷まないもの、匂いのしないものがいいでしょう。
金額について
お金を包む場合は2000円〜3000円が相場です。
町内会や子ども会によって金額が定められていたり事前の徴収や子どもがお賽銭として小銭を奉納することもあるので、その地域のルールを確認した方がいいでしょう。
のし袋の書き方について
のし袋は紅白の蝶結びの水引きのものを選びます。
表書きは、
- 「御供」
- 「お供え」
- 「御尊前」
- 「灯明料」
と書きます。
地域によっては黄白の仏事用の封筒を使うところもあり、その際は「志」と書きます。
硬貨の場合は半紙に包んでお供えします。
地蔵盆での遊びを紹介!
最後に、地蔵盆の遊びを2種類紹介いたしますので、ぜひ試してみてくださいね。
数珠回し
お地蔵様の前で輪になって座り、僧侶の読経に合わせて大きな数珠を回します。
子どもだけでなく、大人も参加して一緒に数珠を回すことが多いです。
ふごおろし
「ふご」とは籠のことで、家の2階から2階にロープを渡し、籠に入った景品手繰り寄せます。
そしてそれをさらにロープを使って1階へ降ろします。
子ども達は事前に番号札を引いており、2階から降りてくる景品をわくわくしながら待つという遊びです。
ふごおろしを行う地域は減ってきているようで、代わりに福引きを行うこともあります。
まとめ
夏休みの終わりに子どもたちが集まる行事なので、花火をしたりお菓子を食べたり、お祭りのようなイベントをする地域が多いです。
少子化が進んでも守っていきたい昔ながらの行事ですね。