マイコプラズマは一年中感染する危険性のある病気であり、感染者の多くにマイコプラズマ肺炎の症状が現れます。
マイコプラズマは97%の人は一度は罹患したことのある疾患であるため、誰でもなり得る危険のある病気です。また寛解までには時間を要するため、適切な処置をすることが大切ですね。
今回はマイコプラズマ肺炎の完治までに行われる治療法、そして風邪とマイコプラズマの症状とその違いなどについてお伝えします。
マイコプラズマ肺炎の症状とは?
マイコプラズマ肺炎とは、マイコプラズマという病原微生物に感染することで、気管支に炎症が生じる病気です。
かつては4年に一度周期で流行がやってくることから「オリンピック病」と呼ばれていました。しかし、現在では一年中感染する危険性があり、秋から冬にかけて感染の可能性は高まります。
マイコプラズマの感染経路は2つあります。
- くしゃみや咳が空気中に飛ぶことで感染する飛沫感染。
- 感染している人と一緒にいることで感染する接触感染。
後者の感染は、長い時間一緒にいるような親密な関係、例えば家族や友達間といった間柄での感染が多いようです。
いずれの感染にせよマイコプラズマは感染力の低い病気であるため、日頃から手洗いうがいなど習慣化しておくことで感染を防ぐことができます。
マイコプラズマは主に気道に感染するものであり、肺での増殖がよく見られます。そのため、マイコプラズマに感染・発症すると肺炎の症状が現れるのです。
肺炎には細菌が原因となる細菌性肺炎と、細菌以外の病原微生物による感染が原因となる非特異性肺炎の、2つに大別されます。
一般的によく知られている肺炎は、細菌性肺炎であり1日から2日ほどで症状が悪化します。しかし、マイコプラズマ肺炎は潜伏期間が2、3週間と長いため、緩やかに症状が現れていきます。
感染時の症状として、長く続く頑固なコンコンというような空咳、39度前後の高熱、鼻水、鼻づまり、一部の方は嘔気、嘔吐、腹痛、下痢などの消化器症状があらわれます。
また、乳幼児が感染した場合はすぐに軽快しますが、学童期から25歳くらいまでの成人がマイコプラズマに感染した場合は、マイコプラズマ肺炎になりやすいのです。
マイコプラズマ肺炎は免疫力の高い人ほど発症しやすい病気というのがその理由です。
比較的免疫力が高い世代であるため、「ただの風邪だからすぐ治る」と軽く考えてしまい、適切な行動を怠るかもしれません。
しかし、心内膜炎、髄膜炎、ギラン・バレー症候群などの重度な合併症を引き起こす可能性もありますので油断できません。
でも、免疫力が高い人ほど重症化するという特徴を知っておくことで、速やかに受診行動がとれるようになりますね。病気に対する正しい知識を得ておくことも、自分の健康を守る手立てのひとつになるのです。
風邪とマイコプラズマの違いは?
マイコプラズマは人や動物間で感染し、上気道炎や気管支炎、肺炎などを引き起こします。
この中の上気道炎が風邪とよく似た症状を引き起こすため、2つの病気を見分けることが難しいのです。
マイコプラズマ感染時の初期症状は、咳、発熱、鼻づまりがあります。
風邪の症状とよく似ていますね。
最初は軽い風邪だ、すぐに治ると思って市販のお薬を飲まれる方も多いでしょう。
しかし、風邪薬を飲んでも熱が下がらず、コンコンといった空咳が続く場合は、風邪ではなくマイコプラズマ感染の可能性が高いです。いつもと様子が違うと感じる場合は、症状の経過をよく観察しておくことが大切です。
ただし、ご家庭で判断することは難しく、医療機関で専門の検査を受けることで判明する病気です。早めの受診行動により、その後の経過も変わるので、異変を感じた際にはすぐに受診してください。
マイコプラズマ肺炎の治療法
マイコプラズマ肺炎の治療には、抗生物質が用いられます。
第一選択薬はマクロライド系抗生物質ですが、現在では耐性菌も多く発見されており、この薬による治療だけでは完治しない場合があります。
その場合の治療薬として、テトラサイクリン系、ニューキノロン系の抗生物質が用いられます。自分が感染したマイコプラズマに合った治療が施されることで、早期回復へと繋がるのですね。
抗生物質は非常に強い薬であり、マイコプラズマだけでなく、細胞をも破壊してしまう場合があります。そのため副作用が出現するリスクがあります。
軽いものとして下痢・腹痛・嘔気・嘔吐などの消化器症状、重度なものはめまい、けいれん、肝臓・腎臓などの重い障害が現れる可能性もあるため、服用中は注意が必要です。
もし副作用が出現したら、病院で診察をしてもらい対応策を検討してもらってください。
現在、マイコプラズマ肺炎の治療にはほとんどの場合で、抗生物質の投与が用いられています。しかし抗生物質による治療は、必ずしも快方に繋がるというわけではありません。
一番大切なのは日頃から予防を意識して行動することです。うがい手洗いなど、できることから継続し行うことで感染を防ぎましょう。
発症から完治までの過程
まず、一般的に飛沫感染か接触感染によりマイコプラズマに感染します。
2、3週間は潜伏期間がありますが、その後発症した場合の初期症状として、頭痛、発熱などが現れます。
初期症状から2、3日後には、マイコプラズマ肺炎の特徴とも言える空咳が見られるようになります。
咳は徐々に激しさを増し、解熱後も咳が続くという経過をたどります。
完治まで長い人では大体1ヶ月ほどかかるため、他者に移さないように自宅で安静に過ごされると良いですね。
また、一般に予後は良好なのですが、マイコプラズマ肺炎は再発しやすい病気です。
マイコプラズマに1度感染したからといって、2度と感染しないほどの強い免疫力は得られません。
現在は予防接種のワクチンもないため、再発の可能性を心に留めて予防行動を取りましょう。
マイコプラズマを拡散させないために
マイコプラズマの潜伏期間は2~3週間あり、発症後から病原微生物が体からなくなるまでは1ヶ月という長い期間を要します。そのため、長期間他者に感染させる危険があります。
マイコプラズマは感染力が強くはありませんが、流行しやすい病気です。感染時には、無理をせず自宅で安静に過ごされることが第一です。
また、看病される方が感染しないように、感染者と接触する際はマスクを着用し、手洗いうがいを心がけましょう。
マイコプラズマは、感染した人の約80%が14歳以下の子どもです。集団で生活をしている時間が長い年代であるためそのため、感染が拡大しやすいと言えます。
そのため、学校保健安全法では、感染時の出欠席について定めており、感染時には学校への報告をきちんと行い対応策を相談することが大切ですね。
マイコプラズマという病原微生物は熱に弱く、また石鹸で手洗いすることで除去することが可能です。
人混みの中へ出かける場合はマスクをし、外から帰ってきたらうがい手洗いをするといった基本的な予防行動を、一人一人が意識的に行うことができれば、感染拡大を防止できる病気です。
簡単なことですが、継続して行うことが大事であり、自分が感染源とならないように予防していきましょう。
まとめ
マイコプラズマ肺炎は感染力自体は弱いのですが、人同士では感染拡大しやすい病気です。
また、繰り返し発症する可能性が高い病気であるため、日々の予防行動を心がけ、再発予防に励みましょう。