乳幼児が感染すると重症化することもあるロタウイルスですが、大人が感染した場合はどうなるのでしょうか?
子供と同じような症状なのか、それとも違うのか気になりますよね。
子供の看病をしていると感染することもあるロタウイルス、大人が感染するとどのような症状が起こるのかまたその対処法についてご紹介します。
ロタウイルスとは?
ロタウイルスとは、5歳までにほとんどの子供がかかってしまう胃腸炎症状を起こす感染症です。
年齢が小さいほどかかりやすく、1歳未満の赤ちゃんは特に感染しやすいといわれています。感染者のうちの半分近くが2歳未満というデータもあります。
一生のうちで何度も感染してしまうのも特徴ですが、年齢が上がるとともに症状は軽くなり大人が感染しても強い症状が出ることは殆どありません。
以前は初冬に感染の流行がみられていました。
しかし近年では初春に流行するようになり、冬に感染拡大するノロウイルスが治まると入れ替わりでロタウイルスの感染者が増えるという図式が出来上がっています。
感染経路は直接または間接の接触による接触感染で、感染者の吐瀉物や排泄物を触ることにより感染してしまいます。
感染力がとても強く、吐瀉物などから空中に飛散したウイルスを吸い込むことでも感染してしまいます。
ノロウイルスとの違いは?
ロタウイルス感染症と同じようなウイルス性胃腸炎で、ノロウイルスというものもあります。ロタウイルスとの違いはいくつかありますが、まずは感染する時期が違います。
ロタウイルスが流行するのは春先ですが、ノロウイルスは冬期に流行します。ノロウイルスの流行がおさまると、ロタウイルスが流行するといった具合です。
次に、かかりやすい年齢も違います。ロタウイルスが5歳までの乳幼児にかかりやすい一方、ノロウイルスは全年齢でかかりやすい感染症です。大人も子供も関係なく、流行中はどんな人でも感染してしまう強力さを持っています。
そして症状にも違いがあります。近年流行しやすい新型ノロウイルスでは、感染から10時間程度で下痢や嘔吐などの症状が現れ、半日ほどでおさまります。
ロタウイルスのように症状が長期化しない、という特徴があるのです。
ロタウイルスの赤ちゃんにあらわれる症状
一番ロタウイルスにかかりやすい赤ちゃんは、感染するとどのような症状が出るのでしょうか?
ロタウイルスは、感染から発症までが短く1日から3日で症状があらわれます。
まずは発熱が見られ、そのあとに吐き気や白色便の下痢が起こります。
症状が続くと脱水症状を起こすこともあり、特に乳児は重症化しやすいという特徴もあります。
発症から症状が落ち着くまでには1週間程度かかりますが、最初の症状である発熱は1~3日で下がります。
その後は下痢と嘔吐が続くことになります。
ロタウイルスが重症化すると合併症を起こすこともあります。
多いのは脱水や電解質異常、栄養が摂れないことから起こる代謝性アシドーシスや低血糖です。
稀に脳症や脳炎、腸重積などを起こすこともありますので、症状が長引いている場合は再度病院を受診することをお勧めします。
ロタウイルスの赤ちゃんの対処法
ロタウイルス感染症が疑われる場合は、まず病院を受診しましょう。
病院では、受付の段階でロタウイルスの可能性があることを伝えてください。
病院によっては他の患者への感染を防ぐために、別室で待機するように指示されることもあります。
病院では、脱水がみられる場合には点滴による補液が行われます。
ロタウイルスには治療薬がないので、薬を処方されても整腸薬が殆どです。
ロタウイルスを治すために必要なのは、体内からウイルスを出し切ることなので間違っても下痢止めや吐き気止めを飲ませてはいけません。
ウイルスを排出することを制限してしまうと、さらに症状が悪化し重症化してしまう恐れもあります。
自宅療養中の対処法は次のことに注意しましょう。
こまめな水分補給
とにかく一番注意しなければいけないのは脱水です。
まだミルクや母乳しか飲めない赤ちゃんは、水分から栄養も補給しているのでそれを吐いてしまうと栄養失調も心配です。
尿の回数や量が減っていたり、感染してから体重が5パーセント以上減っている場合は脱水症状の可能性があるのですぐに病院へ行きましょう。
離乳食の場合
完全母乳の赤ちゃんは、それまでと変わらず母乳のみ、またはイオン飲料を少しずつ飲ませるなどの食事で大丈夫です。
離乳食が始まっている赤ちゃんは、今の離乳食よりも1段階前の状態のものを食べさせるようにしましょう。
しかし症状が強くすぐに吐いてしまう場合は、離乳食をやめてリンゴのすりおろしを少しずつ数回に分けて与えるなど、無理のない範囲で食事させるようにしましょう。
おむつかぶれに注意
1日に何度もお尻を拭いていると、赤ちゃんの弱い肌はかぶれてしまうこともあります。
おむつかぶれでお尻が赤くなってきていたら、おしりふきで拭くのではなく、ぬるま湯できれいに流してあげるようにしましょう。
ロタウイルスの大人にあらわれる症状
大人がロタウイルスに感染すると乳幼児とは違い、軽い胃腸炎程度の症状で治まってしまうことがほとんどです。
一般的に健康な成人が感染しても、症状に気が付かない人もいるぐらいの軽い症状で終わってしまいます。
吐き気や胃の痛みを感じても、病院に行くほどではないと自己判断してしまうことも多いでしょう。
家庭の中で大人が先に感染した場合、ロタウイルスとは気づかずに放置することにより子供へ二次感染してしまうこともあるので注意が必要です。
また、大人でも重症化する場合も勿論あります。
重症化に注意したいのは妊婦さんや高齢者、疲れや病気で抵抗力の落ちている人、子供のロタウイルス感染症を看病している大人です。
健康な大人であっても、感染した子供の対応に追われていると多くのウイルスを体内に取り込むことによって強い症状が出ることもあります。
また妊婦さんや高齢者も抵抗力が弱いため重症化することがあります。
特に高齢者施設などでは集団感染にもつながるので注意が必要です。
孫の看病をしている祖父母が感染してしまうことも多々あり、子供が感染したことにより大人に二次感染し、一家全員がロタウイルスに苦しむことも稀ではありません。
そうなると1週間から10日ほどは家庭内でウイルスが蔓延し、症状も嘔吐や白色便の下痢など強いものになるでしょう。
ロタウイルスの大人における対処法
ロタウイルスには治療薬が存在しません。
1日でも早く治すためには、ウイルスを体外へ排出することが大切です。
なので、下痢止めや吐き気止めで症状をおさえてはいけません。
下痢やおう吐などの症状は、そのままにしておくのが一番の対処法です。
そうすると、一番気を付けなくてはいけないのは脱水症状です。
子供と違い、大人なら自己判断で今は食べられる、食べられないというのが感覚でわかると思います。
それでも、食べ物を受け付けない間は水分補給だけはしっかり行ってください。
水分も一度にたくさんとると吐き戻してしまうので、少しずつこまめに補給することが大切です。
水分はただの水よりもイオン飲料など体に吸収しやすいものにしましょう。
食事をするなら、最初はリンゴのすりおろしやゼリータイプの栄養補給など、胃腸に負担のかからないものにします。
嘔吐がおさまってきたらおかゆ、便が固まってきたら普通のご飯、といったように段階を踏んで食事をするようにしましょう。
治ったからと言っていきなり油ものなど食べると、症状をぶり返すこともあるので注意が必要です。
まとめ
まだ自分でしゃべることのできない赤ちゃんは、ロタウイルスに感染しても自分で不快な症状を伝えることができません。
症状が治まるまでは、親がしっかりと様子を観察し脱水症状やほかの合併症を起こしていないのか気を付けることが大切です。
反対に、子供とは違い症状も軽く済むのが大人のロタウイルスですが、やはり感染すると何らかの症状は出てしまうようです。
春先にむかつきや胃の痛みを感じたら、飲みすぎではなくてロタウイルスかもしれませんね。
子供のいるご家庭では、大人から子供への二次感染を防ぐためにも自分の体を大切にしてあげてくださいね。