感染症にはさまざまな種類がありますが、ノロウィルスは下痢や嘔吐などを主症状として症状が現れます。
熱が出たり、下痢などきちんと対処しないと回復が遅れたり、症状が悪化することがあります。
何度も繰り返す下痢や嘔吐は、脱水症状に繋がるため注意が必要です。
今回は、ノロウイルスの各症状や対処法などについて紹介します。
適切な対処法で回復を早めましょう!
ノロウイルスに見られる症状
毎年、11月~3月頃になるとノロウイルスに感染したという声を聞くようになりますね。
冬になると感染者が増えるノロウイルスですが、感染すると下痢や嘔吐など消化器系を中心に症状がでます。
主に牡蠣などの二枚貝を食べて感染しますが、感染経路には感染者の排泄物の処理が適切にされず周囲の人に感染させてしまうこともあります。
またウイルスが付いた手すりやドアノブなどを触り、手洗いなどを怠り、汚染された手で調理をするとたくさんの人に感染させてしまいます。
ノロウイルスの主な症状と言えば、
- 下痢
- 嘔吐
- 腹痛
- 軽度の発熱
主に、このような症状があらわれます。
症状はひどくても約1日から2日くらいで回復に向かいますが、脱水症状になると時間がかかることがあります。
また、赤ちゃんや小さな子供、高齢者など体の抵抗力の弱い方がかかると、重症化したり回復するまでに数日かかることがあるので注意です。
次では、各症状に合わせた対処法などについて、見ていくことにしましょう。
発熱
ノロウイルスはお腹で炎症が起きているため、炎症反応として軽度、発熱することがあります。
発熱する仕組みですが、細菌やウィルスなどが体に入ると毒素を出して、発熱物質がでてきます。
更に白血球などの免疫細胞が活発になり、熱を出すことにより病原菌を倒そうとするのです。
発熱すると体がだるくなたり、頭がボーっとしたり辛い状態ですが、病原菌と闘うためには必要な体の防御反応なのです。
ノロウイルスで発熱したときの対処法・治療法
発熱すると解熱剤を用いて症状を軽くしたいところですが、解熱剤を使ってしまうと症状が長引くことがあります。
また解熱剤は、熱が下がるため一時的に楽にしてくれますが、効果が切れるとまた発熱するという繰り返しになりますよね。
熱が出た時は、首周りや太もものつけ根(鼠径部 そけいぶ)、脇の下などをタオルを巻いた保冷剤やアイスノンなどで冷やすようにします。
汗をかいたらこまめに拭いてあげたり、着替えさせるのも良いでしょう。
汗をかくと水分が出てしまうため、麦茶や湯冷ましなどで水分を補給するようにします。
軽度の熱であれば病院に行く必要はありませんが、意識がもうろうとしていたり、熱が41℃以上まで上がっている場合は、病院を受診するようにします。
腹痛
ノロウイルスに感染すると、下痢と共に腹痛も出てきます。
お腹が炎症をおこしているための症状ですが、これは腸の粘膜の一部の神経が刺激されて痛みとして起こるのです。
ノロウイルスで腹痛がおきたときの対処法・治療法
お腹の痛みが継続する場合や、痛みがどんどん強くなる場合は、無理せず医療機関を受診するようにしてください。
病院では、お腹のどの部分が痛むのか、腹膜炎を起こしていないかなどを調べます。
お腹が痛む病気には急性胃腸炎、胃潰瘍や十二指腸潰瘍のほか虫垂炎や腸閉塞など緊急性のある病気があります。
緊急性のある病気が疑われたら外科手術を行うことがあります。
痛む部分や食中毒との関係など、病気の種類によって治療法が異なりますが、ノロウイルスでは特別な治療を行うことはほとんどないと言って良いでしょう。
ここでは、家庭で行える対処法をご紹介します。
楽な姿勢をとる
お腹が痛い時は、洋服のベルトなどを緩めてベットなどに横になり、膝を曲げた姿勢をとると痛みが和らぎます。
お腹を温める
ノロウイルスが原因でお腹が痛い時は、湯たんぽなどでお腹を温めてあげると、お腹の筋肉の緊張が和らぎ痛みが軽減します。
食事
痛みが治まってきたら、お粥など消化が良くお腹に優しい食事を選んで食べるようにします。
下痢
ノロウイルスの典型的な症状として下痢が挙げられますが、下痢は子供よりも大人に多く見られる症状です。
下痢は腸の運動が活発になっている状態なので、お腹を温めて休ませてあげることが大切です。
ノロウイルスで下痢になったときの対処法・治療法
下痢の時は、ここで紹介する方法で対処してみると良いでしょう。
食事の管理
下痢は腸内バランスが乱れている状態です。
食事はお腹に負担のかからない、お粥やにゅう麺など、軽い食事を摂るようにします。
水分補給
下痢をすると水分が体外に排泄されるため、脱水を起こしやすくなります。
この場合は、温かい麦茶や白湯など与えるようにします。
下痢の時は水分以外にも、体内のナトリウムやカリウムと言った電解質も失われがちなので、常温程度のスポーツドリンクや経口補水液などを与えるのも良いですね。
下痢止めは使わない
ノロウイルスなどウイルス性の胃腸炎では、下痢止めは使わないようにします。
下痢止めを使ってしまうと、体内に長くウイルスが存在することになり症状が長引いてしまいます。
回復を早めるためにも下剤は使用せず、自然な排便でウイルスを出すようにします。
咳
咳は症状が辛いだけでなく、体力が消耗するなど症状が悪化する原因になります。
ノロウイルスは消化器系を中心に症状が出るため咳が出ることは少ないですが、ノロウイルスによって体の免疫力が低下しているため、他の病気にかかっている可能性が考えられます。
ノロウイルスは冬に多く発生しますが、冬に多い感染症と言えばインフルエンザなども代表的な病気ですよね。
咳が出る病気には、咽頭炎や喘息、肺炎、マイコプラズマ肺炎、気管支炎などがあります。
お腹の症状以外にも呼吸系の症状がひどかったり、熱が高いなど症状がある時は、他の病気を合併していると疑ってみましょう。
ノロウイルスで咳がでるときの対処法・治療法
咳は、体に侵入した細菌やウィルスを排除する防御反応のひとつです。
咳の症状を鎮めるにはどのような方法があるのか見ていきましょう。
水分補給
喉が乾燥すると咳が出ますよね。
咳が出る時も水分補給は大切です。
水分が少ないと粘り気のある痰がでるようになり、痰が出ずらくなります。
加湿器で湿度を保つ
加湿器などを使って乾燥を防ぐようにします。
乾燥すると、喉や鼻の粘膜にウィルスが付着して病気にかかりやすくなります。
また、湿度を上げることによって痰の粘り気が弱まり、痰が出やすくなります。
湿度は50%~60%を目安に保つと良いでしょう。
洗濯物を室内に干す
加湿器がないという方は、洗濯物を部屋に干すだけでも湿度を得ることができます。
濡れたタオルを枕元に置いたり、洗面器に水をはるなどで対処するのも良いですね。
咳止め
咳が止まらないときは、咳止めを使用すると楽になります。
市販されている咳止めや、病院を受診して薬を処方してもらうのも良いでしょう。
病院では、症状や状態によってネブライザーを使って症状を和らげたり、咳止めの薬を処方することがほとんどです。
喘息の咳ではないかなどを見極めながら治療を行っていきます。
めまい
ノロウイルスが、直接の原因となってめまいが起こることは少ないです。
何故、ノロウイルスでめまいが起こるのかと言うと、発熱や嘔吐などの症状と関係しています。
ノロウイルスに見られる下痢や嘔吐などは、水分やイオン成分が排出されるため脱水症状を引き起こしてしまいます。
脱水症状の症状としてめまい、頭痛、倦怠感など症状が見られます。
ノロウイルスでめまいがしたときの対処法・治療法
ノロウイルスでめまいがする場合は、脱水症状を防ぐことが一番良い対処法になります。
水分補給
下痢や嘔吐は、予想以上に体の水分やイオン成分を失います。
また水分だけではなく、生命を維持するために欠かせないナトリウムやカリウムなどのイオン成分も出ていってしまいます。
水分とミネラル成分を補給するため、経口補水液やスポーツドリンクなどを飲むようにします。
安静にする
めまいがしたらその場で座ったり、ベットやソファーなどで横になるようにします。
無理に動くと転倒するなど怪我をしてしまうことがあります。
水分が摂取できないくらい症状が重い場合は、病院などで点滴治療を受けるようにします。
点滴では、水分やミネラル成分の入った栄養分を点滴することがほとんどです。
寒気
ノロウイルスの症状のひとつに発熱がありますが、寒気を感じた場合は発熱が始まっていると考えられます。
熱の出始めでは、寒気がしたり体が震えてきますよね。
体にウイルスが侵入すると、免疫細胞の働きが高まって発熱物質が出てきます。
体の体温を高くすることで、ウイルスと闘うことができるのです。
ノロウイルスで寒気がしたときの対処法・治療法
寒気がしているときは発熱の初期段階で、これからぐんぐん熱が出てくる証拠です。
寒気がある時は、布団をかけるなどして体を温めてあげるようにします。
痙攣
ノロウイルスで痙攣が起こる場合は、小さな子供に多く起こり大人では少ない傾向にあります。
特に生まれて半年から3歳未満の子供に多く見られ、脱水による電解質の喪失と関係なく起こります。
また痙攣も、下痢や嘔吐の症状が消失した数日後に起こることが多いと言われています。
ノロウイルスで痙攣がおきたときの対処法・治療法
胃腸炎の痙攣は、数分以内で治まってしまうことがほとんどです。
2回から3回程度繰り返すことが一般的ですが、多い子供では10回以上起こることがあります。
意識がはっきりしていることが多く、熱性けいれんとは別に区別されます。
様子を見る
痙攣が起きたら、その時間や状態など観察します。
また、吐いて吐物が喉に詰まって窒息しないように顔を横に向けましょう。
安静にさせる
ベルトや洋服のボタンを外すなど、体を楽にさせてあげます。
周囲に危険なものがないか確認して安全を確保します。
痙攣が5分以上続く場合
ノロウイルスに伴う痙攣は2分から3分以内に治まることが多いですが、痙攣が5分以上続く場合は救急車を要請するようにします。
病院では、痙攣を抑えるための薬剤を注射したり、座薬を使用することがあります。
また、状態によっては入院して状態を観察することがあります。
まとめ
ノロウイルスにかかると下痢や嘔吐が主な症状になるので、脱水症状を起こさないように経口補水液などでイオン成分を補ってあげましょう。
子供では、ウィルス性の胃腸炎に伴う痙攣なども起こることがあるので注意が必要です。
痙攣が起こると慌ててしまいますが、落ち着いて状態を観察するようにしてくださいね。
小さな子供のいる方では、ウイルス性胃腸炎でも痙攣が起こると知っているだけでも安心できますね。