感染症には多くの種類がありますが、ノロウイルスは消化器系を中心に症状が出る病気です。
お腹が痛くなったり、下痢や嘔吐など消化器系に症状が出ると辛いものです。
そして消化器系に症状が出て困るのは「何を食べれば良いのか」ということですよね。
今回は、ノロウイルスに感染したときの食事などについてまとめました。
ノロウイルスに感染して、どのようなものを食べれば良いか悩んだ時は参考にしてくださいね。
ノロウイルスが消化器官に与える影響
ノロウイルスは冬に多く発生する病気で、11月から3月頃にかけて感染者が増加する傾向にあります。
主に生ガキを食べて感染する方が多いですが、生ガキ以外では、ウイルスに感染した人の排泄物の処理が適切にされないために感染してしまうことがあります。
その他、ウイルスに感染した手で調理をしたり、食べ物を口に運んで感染してしまうことがあります。
ノロウイルスは、主に下痢や嘔吐、腹痛など、消化器系に影響が出ることと同時に、感染力が強いのが特徴です。
感染者の便や嘔吐物などの排泄物には、たくさんのウイルスが含まれているので、処理を間違えると感染する危険性が高いのです。
ウイルスによっては、熱で死滅したり乾燥に弱いなど特徴がある菌もありますが、ノロウイルスは乾燥に強いウイルスです。
症状は激しい下痢や嘔吐などから始まって、1日から2日くらいで治まり、徐々に回復に向かっていきますが、ウイルスは約1週間程度は便から排出され続けています。
高齢者や小さな子供の場合は、症状が長引いたり悪化してしまうこともあるので注意が必要です。
また消化器系に症状が出ることから、水分が補給できず脱水症状を引き起こしてしまうこともあります。
ノロウイルスに感染した時の食事【幼児や子供の場合】
ノロウイルスには、下痢や嘔吐などがひどく食事を摂ることが困難なことがあります。
食事をしないと免疫力が低下して症状が長引いたり、反対に胃に負担をかけてしまうことがあります。
何か食事を与えなくてはいけないと分かっていても、どのような食事を与えれば良いのか分からないことがありますよね。
ここで、ノロウィルスに感染した時に与えると良い食事を紹介していきましょう。
お粥・にゅうめん・おもゆ
病気になった時の定番食といえば、お粥ではないでしょうか。
お粥は消化も良くお腹に優しい食べ物ですよね。
薄く塩味にしたお粥に卵を加えると、タンパク質などの栄養分も補えますね。
また温かいにゅう麺に卵やささみ肉を入れるなど、お腹の状態に合わせて具を加えてくださいね。
ヨーグルト
下痢は腸内環境が悪くなっている状態です。
そこで、ヨーグルトの乳酸菌の力で腸内バランスを整えましょう。
乳酸菌には、傷んだ腸の粘膜を元通りに戻してくれるなど、炎症を鎮めてくれる作用が期待できます。
但し、乳製品の摂り過ぎは下痢が悪化してしまう恐れがあるので、少量にとどめておくようにします。
すりおろしリンゴ、バナナ
リンゴやバナナはお腹の調子を整える作用があります。
下痢などをすると腸内環境が乱れてしまいますが、リンゴやバナナなどの整腸作用のある食品で腸内環境を整えるようにします。
ゼリーやアイスクリーム
ゼリーやアイスクリームは喉ごしが良く、子供も喜ぶ食べ物ですよね。
食欲がない時は、ゼリーやアイスクリーム、そしてプリンなど食べやすい物を与えるようにしましょう。
ノロウイルスに感染した時の食事【大人の場合】
消化器系に症状が出ると、食欲も減退してしまうものです。
症状が強いときは無理に食べる必要はありませんが、回復してきたら少しずつ食事を摂るようにしましょう。
絶食期間が長いと胃腸の粘膜が弱くなって、回復までに時間がかかってしまいます。
お粥
大人も子供と同じように消化の良いお粥を食べると良いですね。
お粥なら症状の強さに合わせて固さを調整できるので、下痢気味の時はトロトロ状のお粥から初めて徐々に固形食に戻すようにします。
お粥だけでは物足りなという方は、体の状態に合わせてささみ肉を加えたり、卵やかぼちゃ、大根などを加えると良いでしょう。
野菜スープ、みそ汁など
野菜スープやみそ汁なども、お腹に優しい食べ物のひとつです。
症状が回復しても胃腸が元気な状態に戻っているわけではないので、スープ類などで栄養を補給しましょう。
味付けはお腹に負担のかからない薄味にして、中に入れる具材もかぼちゃや人参などの緑黄色野菜を加えるとビタミンやミネラルが補給できます。
固形の食材を入れたスープのほか、圧力鍋で野菜類やささみ肉を柔らかくしてトロトロ状にした野菜スープも、栄養満点で回復期の食事にピッタリです。
但し、下痢や吐き気があるときは、海藻類やキノコ類などは避ける方が良いでしょう。
うどん
うどんは喉ごしが良く食べやすいので、食欲がない時に最適な食べ物です。
うどんが太くて食べずらいようなら、そうめんなども良いでしょう。
食べる時は温めて食べるようにしてください。
ノロウイルスに感染時に避けたい食事【幼児や子供の場合】
前章では、ノロウイルスに感染した時の食事の内容を説明しましたが、では避けるべき食事はどのようなものがあるのでしょうか。
お菓子類
子供が病気になると、好き嫌いもひどくなるものです。
そのような時に、お菓子類を与えてしまうと下痢や吐き気がひどくなったりします。
喉ごしの良いプリンなどであっても、毎回与えるのではなく少量に抑えておくようにしましょう。
炭酸飲料やジュース類
水分補給は大切ですが、炭酸飲料やジュース類は胃腸を刺激して症状が悪化してしまいます。
特に糖分の多いものや、柑橘類などは要注意です。
ケーキ類
子供の喜ぶケーキですが、胃腸の病気の時は避けた方が良い食品になります。
糖分が多く含まれ、また油分なども多いので、弱った胃腸には刺激になってしまいます。
加工食品
ハムやソーセージ、ベーコン、かまぼこなどの加工食品は、消化が悪く消化器系の病気の時は避けたい食品です。
ノロウイルスに感染時に避けたい食事【大人の場合】
次に、大人が気を付けるべき食事を見ていきましょう。
プリンやアイスクリーム
子供では、喉ごしが良く食べやすいプリンやアイスクリームを与えることがあります。
しかし大人であれば、できるだけ糖分や冷たい食べ物は避けるようにします。
脂肪分の多い食品
お腹の調子が悪い時に、脂分の多い食事をしたいという方は少ないはずです。
唐揚げや天ぷらなど、油を使った料理は消化が悪く胃腸に刺激となります。
食物繊維の多い食品
キノコ類や海藻類、ゴボウや蓮根、さつま芋などの根菜類など食物繊維を多く含む食品は、腸の動きが活発になり過ぎて下痢の症状がひどくなってしまいます。
香辛料類
唐辛子やカレーなど、スパイスを多く使った料理も胃腸の病気の時は適さない食事になります。
胃腸が炎症を起こしているときは、シンプルな薄味の料理を食べるようにしましょう。
ノロウイルスの感染時には水分補給が重要
ノロウイルスにかかると、下痢や嘔吐などで体から水分や電解質などが失われ、脱水症状を引き起こしてしまうことがあります。
小さな子供や高齢者など、抵抗力が弱い方が脱水症状を起こすと危険な状態になるので水分補給は重要です。
もちろん、子供や高齢者に限らず成人でも脱水症状にならないために、こまめに水分を補給するようにします。
私たちの体は、生命を維持するための水分や、ナトリウムやカリウムといった電解質などが含まれています。
ノロウイルスの症状は、嘔吐や下痢が1日に10回以上続くことがあるので、水分や電解質が失われやすくなります。
電解質が失われると臓器を維持してる細胞のバランスが崩れて、体にさまざまな悪影響をおよぼします。
脱水によってカリウムやカルシウムイオンなどが少なくなると、しびれや足がつっぱるなどの症状が出るようになります。
また水分不足になると、頭痛やめまい、吐き気などが起こり、症状が進むと腎不全や意識消失など症状が悪化してしまいます。
水分を与える時は、一度にたくさん与えると戻してしまう原因になるので注意が必要です。
スプーン1杯の水分を10分に1回の割合で与えるようにします。
また水分は冷たいものではなく、常温の水分を与えるようにしてください。
水分を補給すると同時に、失われた電解質を補給するために、市販の経口補水液などを与えるのも良いですね。
スポーツドリンクも効果がありますが、糖分が多く電解質成分が経口補水液と比較すると少なめなので、進行した脱水症状には適していません。
水分を摂っても吐いてしまう場合は、病院などで点滴を受けて水分や栄養分を摂るようにします。
普通の食事を開始して良いタイミングは?
下痢や嘔吐の症状がひどい時は、食欲もありませんよね。
また食事をすると症状がひどくなるので、症状が強く出ているときは無理に食事を摂る必要はありません。
ノロウイルスでは感染して約1日から2日くらいで症状が治まってくるので、様子をみながら消化の良い食事から開始します。
一度にたくさんの食事量を与えてしまうと弱った胃腸に負担がかかるので、消化の良い食べ物を少量与えるようにします。
食事はいきなり普通の食事メニューではなく、お粥などお腹に優しい食事から始めるようにしてくださいね。
普通食を開始する場合は、回復して約3日~4日目くらいを目安にすると良いでしょう。
症状が治まり本人が元気でも、胃腸はダメージを受けているのでしばらくしてから普通の食事を食べるようにしてくださいね。
まとめ
ノロウイルス感染時に摂る食事としては、大人も子供も基本的にはお粥やにゅう麺など消化の良い食事から始めるようにします。
無理に与えると、吐き気をもよおしたり下痢がひどくなるなど、症状が悪化してしまうことがあります。
食事をするときは小量を1日数回に分けて食べることで、胃腸の負担を軽減できます。
そして脱水症状を引き起こさないためにもこまめに水分を補給するようにしましょう。
水分が摂れないほど症状がひどい時は、速やかに病院などで点滴を受けるようにしてください。
参考文献
「ノロウイルス感染症:最近の研究の展開」
「国立感染症研究所 ノロウイルス感染」
「株式会社ウエノ 急性胃腸炎と経口補水療法」