【総まとめ】目の奥と頭が痛い病気と対処法!何科でどんな治療が正しい?
  本記事の「目と頭が痛いときに考えられる病気」の章は、下記の医学書などに基づき口腔外科医が執筆いたしました。
「口腔外科学 医歯薬出版株式会社」
「必修内科学 南江堂」
「医学大辞典 医学書院」
「標準眼科学 医学書院」
「歯科医のための耳鼻咽喉科学 医歯薬出版株式会社」

目を動かすと頭が痛くなった経験はありませんか?

これは日頃、スマホやパソコンなどを見る機会が多くなったために出てきた症状とも言えます。

そして、単に疲れではありません。

目の奥と頭が痛くなる病気は、意外とたくさんあるのです。

ここでは目を動かすと頭が痛くなる、いくつかの原因と対処方法をご紹介するとともに、可能性のある病気を総まとめしました。

病気ごとに受診するべき診療科も紹介していますので、心当たりのある症状のときは是非お役に立てて下さい。

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目を動かすと起こる頭痛の原因とは?

目を動かすと起こる頭痛の主な原因は、目を動かす動眼筋が疲れて起きる痛みだと言われています。

通常は、起立している状態で目線を水平より10度くらい下向きになっている状態が、一番目の筋肉を疲れさせない位置だと言われています。

 

しかし現代においては、スマホやパソコンなどを使う機会増えたため、動眼筋が疲れてしまい頭痛を起こしてしまいます。

ここではいくつか目を動かすと起こる頭痛の原因になっている病気をご紹介したいと思います。

目の使いすぎなどからくる眼疲労

これはスマホやパソコンなどを長時間続けたり、コンタクトやメガネが合っていなかったりなど、目を酷使したりすることが原因となります。

眼疲労の場合は、目を休ませると目の痛みや目のカスミが取れるようです。

眼疲労よりも重症な眼精疲労

眼疲労と同じで長時間目を使い続けることによって起きるのですが、眼精疲労の場合は目の痛みや充血などのほかに肩こりや頭痛、吐き気など症状が重症化します。

目を休めても眼疲労のようにすぐ回復するのは難しいようです。

ストレスや疲労で目の奥が痛くなる

眼疲労や眼精疲労のように目の疲れで目の奥が痛くなることがあります。

目を休めても良くならず、何かを少し見るだけでも目が疲れて痛くなります。

風邪などで痛くなる

風邪からの副鼻腔炎や、蓄膿症などになっても目の奥が痛くなることがあります。

この場合は目の奥でも鼻に近い場所が痛くなり、ドロッとした膿のような鼻水が出ることがあります。

効果的な対処法

目を動かすと頭が痛くなる原因は、主に目の疲れが原因だということは分かっていただけたと思います。

言い換えると、目の疲れをとることによって頭の痛みがなくなるということですね。

そこで、目の疲れをとるための方法をいくつかご紹介したいと思います。

メガネやコンタクトを調整する

簡単にできるものとしては、メガネなどをしている人は度があっていない場合、無理やり見ることになり目を疲れさせています。

自分の目に合うように調整すると、無理やり見ることがなくなり目の疲れを抑えることが出来ます。

目を温める

蒸しタオルを目を閉じたまぶたの上におくだけでも、目の疲れをとることが出来ます。

人によっては冷たい方がいいと言う方もいるかもしれませんが、目の周りの血管を収縮させることになり、さらに痛くなる場合もあるので注意しましょう。

目に良い食べ物を食べる

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目が疲れているときは、目に良い物を摂るようにしましょう。

一般的に知られているのはアントシアンを多く含むブルーベリーです。

最近は紫外線のダメージを軽減させ、目のトラブルを防ぐルテインも目に効果があると言われています。

ルテインを含む食材はニンジンなどですが、食事でとるのが無理な場合などはサプリメントなどを利用してもいいと思います。

サプリメントの摂取

重大な病気などが原因ではなく、疲労や体質による頭痛にはサプリメントの摂取を取り入れても良いでしょう。

これは対処法というだけでなく、予防法として役割が大きいです。

頭痛というのは「痛くなってから」より、「痛くなる前に」対策をしておくほうが、より効果的です。

 

下記の記事では、当サイトが厳選したおすすめサプリメント3種類を、比較調査して紹介しています。

ご自身の体質改善を目指すための、一助となれば幸いです。

目に良いツボを押す

よく目が疲れた時に目頭のくぼみを押さえることがありますよね。

まさにイラストの位置です。

そこは睛明(せいめい)という、疲れ目やかすみ目に効くツボがあります。

 

人差し指で、揉むように優しく刺激して下さい。

鼻水や鼻づまりにも効果がありますよ。

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目と頭が痛いときに考えられる病気

ここからは、目と頭が痛い場合に考えられる重症度の高い病気を解説していきます。

それぞれの症状、治療法、受診するべき診療科を紹介していきますので参考にしてみて下さい。

顎関節症

顎関節症ってなに?

顎関節症とは、顎関節やその周囲の筋組織に痛みや運動障害をきたす病気のことです。

顎関節症の症状

お口を開けたり閉めたりする時に痛みが生じます。

側頭筋という側頭部にある筋肉に痛みが生じた場合、こめかみのあたりに痛みを感じます。

 

その痛みが強いと片頭痛と間違えるときもあります。

顎関節症では、痛み以外の症状としてお口を開けることが難しくなる症例も認められます。

顎関節症の治療法

痛みをとるために、鎮痛薬や筋弛緩剤を使います。

歯ぎしりや食いしばりからくる関節の痛みには、マウスピース療法が行なわれます。

開口障害を認める場合は、顎関節の洗浄療法が選択されることがあります。

顎関節症で受診するべき診療科

顎関節症には、歯科、特に歯科口腔外科が専門診療科となります。

副鼻腔炎

副鼻腔炎ってなに?

副鼻腔炎とは副鼻腔に起こる炎症のことです。

副鼻腔とは頭蓋骨の内部にある空洞のことで、全部で4箇所あります。

 

それぞれ、

  • 上顎洞
  • 蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)
  • 篩骨洞(しこつどう)
  • 前頭洞(ぜんとうどう)

とよばれ、自然孔を通して鼻ともつながっています。

副鼻腔炎の症状

副鼻腔炎の代表的な症状は、鼻水や鼻づまりという鼻症状です。

鼻から膿が出てくることもあります。

 

急性期には、炎症を起こした副鼻腔を中心として、重い感じや痛みが生じます。

頭痛や頭重感を訴えることもあります。

副鼻腔炎の治療法

抗菌薬を投与して、炎症の緩和を図ります。

痛みに対しては、鎮痛薬を処方します。

 

ネブライザーとよばれる器具を使って、薬剤を吸入することもあります。

ファイバースコープを使って、副鼻腔内部の病的粘膜を取り除く手術をする方法もあります。

副鼻腔炎で受診するべき診療科

副鼻腔炎で受診するべき診療科は、耳鼻咽喉科です。

耳鼻咽喉科は、副鼻腔炎の専門家です。

副鼻腔炎かなと思ったら耳鼻咽喉科を受診しましょう。

歯性上顎洞炎

歯性上顎洞炎ってなに?

上顎洞炎は、副鼻腔炎の一種です。

一般に副鼻腔炎が、鼻の炎症が原因で起こることに対して、歯性上顎洞炎はむし歯や歯周病など歯が原因で起こるというところに違いがあります。

歯性上顎洞炎の症状

上顎洞とは、鼻の横、上顎の上、眼の下にある骨の内部の空洞のことです。

ここに、むし歯や歯周病からの炎症が波及しておこるのが歯性上顎洞炎です。

 

上顎洞炎をおこすと、上顎洞内部の粘膜が腫れてきます。

そして上顎洞内部に膿を溜める様になります。

 

鼻づまりや鼻水といった鼻症状だけでなく、目の下が重くなったり、腫れて痛くなったりします。

悪化すれば、眼の周囲にまで腫れが広がってくることもあります。

歯性上顎洞炎の治療法

急性期は、抗菌薬を使って炎症の緩和を図ります。

その後は、原因となった歯の治療を行ないます。

むし歯治療や歯周病治療をしても、症状の改善が図りにくい場合は、抜歯することもあります。

歯性上顎洞炎で受診するべき診療科

歯性上顎洞炎で受診するべき診療科はやはり歯科ですが、その中でも歯科口腔外科が専門です。

歯科口腔外科を標榜している歯科医院や、病院がいいでしょう。

群発頭痛

群発頭痛ってなに?

どちらか片方の眼の周囲を中心とした顔面部に、激烈な痛みを生じる病気です。

年齢層では20〜40代に初発し、男女比では男性:女性=5:1と男性に多くみられる傾向があります。

群発頭痛の症状

「焼けた火箸を眼に突っ込まれる」という表現がなされるほどに激しい痛みを生じます。

片側の眼窩の周辺部や眼窩内に激痛を認めます。

あまりの痛みのために、じっとしていることができなくなります。

 

痛みには、全く感じない『寛解期(かんかいき)』と、痛みが発生する『群発期(ぐんぱつき)』があります。

通常は全く痛みなどの症状はないのですが、たとえば3年おきの12月といったように、数年おきに1度、個人個人で定まった時期に群発期がめぐってきます。

 

群発期は一般的に1ヶ月ほど継続し、群発期の期間中は毎日数回、ほぼ決まった時間に1時間程度の激痛発作が現れます。

群発頭痛が生じた側に、涙がでたり、結膜が充血したり、鼻づまりや鼻水などの症状も生じます。

上顎の奥歯の痛みと勘違いすることもあります。

群発頭痛の治療法

薬物療法が行なわれます。

トリプタン系の薬剤、特にイミノグランの注射がよく効きます。

痛みの発作時間を短くするのには、酸素投与も有効です。

通常の痛み止めは効きません。

群発頭痛で受診するべき診療科

群発頭痛の症状を上顎の奥歯の痛みとしてとらえ、歯の痛みと誤認し歯科を受診することがあります。

歯の痛みとは関係がありませんので、歯科ではなく、内科・神経内科を受診する様にしてください。

緑内障

緑内障ってなに?

緑内障とは、眼内圧が非常に高くなり、視力などものを見るための能力に影響が生じる病気です。

中年の女性に起こりやすい傾向があります。

一方、近視のひとには生じにくいとされています。

緑内障の症状

緑内障は、頭痛が初発症状として起こる眼の病気です。

頭が割れそうなほどに痛みます。吐気や嘔吐を伴うこともあります。

 

眼の痛みは、あらゆる眼の病気の中で最も痛いものといわれています。

痛みは、夜間に生じやすい傾向があります。

緑内障の治療法

上昇した眼圧をさげるために、薬物療法や手術療法が使い分けられます。

薬物療法は、点眼薬と飲み薬が使われます。

どちらを選ぶかは、眼圧の降下効果や副作用の状況を見て判断します。

 

手術療法は、薬物療法では効果が得られないと判断された時に行なわれます。

顕微鏡を使う、安全に効果的な術式が取り入れられていますが、レーザーを使う方法も増えてきました。

緑内障で受診するべき診療科

緑内障は眼の病気ですから、眼科を受診するべきです。

側頭動脈炎

側頭動脈炎ってなに?

側頭動脈炎とは、頸動脈とその分枝である側頭動脈に炎症を起こす病気です。

動脈炎そのものは、全身の中程度から太めの動脈ならどこにでも起こりますが、特にその中でも側頭動脈におかすものを区別して表しています。

側頭動脈炎は、年齢層では50代以降に、男女間では男性:女性=1:1.7と女性に起こりやすい傾向があります。

側頭動脈炎の症状

側頭動脈炎の症状は、まず側頭部(こめかみのあたり)の痛みがあげられます。

痛みの性状は、片側性のドクドクと拍動する様な痛み、頭痛などです。

また、側頭動脈が赤く腫れ上がり、触れると痛みを生じます。

 

発熱や全身に及ぶダルさも起こります。

側頭動脈炎には、視力障害が現れることがあり、5〜10%は失明してしまいます。

 

顎跛行(がくはこう)という側頭動脈炎に特徴的な症状もあります。

これは、食べものを噛むときや声を出す時に、咬筋という下顎の筋肉が痛みや違和感を生じる症状です。

動脈炎により、血液の流れが悪くなることが原因です。

側頭動脈炎の治療法

副腎皮質ステロイド剤がよく効きます。

特に早い段階から処方することで、失明に至るリスクを大幅に軽減出来ます。

 

一般的にプレドニゾロンを、1日あたり40〜60[mg]の量から投与を開始します。

ステロイド剤が効かない場合や、副作用が生じて使いにくくなった場合は、ステロイド剤にかわって免疫抑制剤を投与することがあります。

側頭動脈炎で受診するべき診療科

側頭動脈炎は、側頭部に痛みを生じるために顎関節症を誤認しやすく、歯科口腔外科を受診する患者さんがいます。

しかし、この病気は歯科口腔外科ではなく、内科・神経内科が専門となります。

内科や神経内科を受診する様にしてください。

三叉神経痛

三叉神経痛ってなに?

三叉神経痛とは、発作性に電撃されたような激しい痛みが発症する病気のひとつで、三叉神経の支配領域に生じる病気です。

年齢層では50代以降によくみられ、特に女性に多く発症する傾向があります。

 

三叉神経とは、脳神経のひとつで主に顔面部の感覚を司っています。

脳から顔面部に至る過程で、3本に枝分かれすることから三叉神経とよばれています。

 

三叉神経の第一枝は額のあたりを、第二枝は頬や上顎のあたりを、第三枝は下顎のあたりを支配領域としています。

三叉神経痛は、このうちの第二枝や第三枝の領域によく起こるのですが、第一枝の領域にも起こります。

三叉神経痛の症状

三叉神経の枝に沿って電気を浴びせられた様な、えぐられたような激しい痛みが生じます。

第一枝に起こった場合は、眼の周囲に非常に激しい痛みが起こります。

痛みは激しいのですが、持続時間は非常に短く、数十秒から数分の間におさまることがほとんどです。

 

痛みが起こっていない時には、何らの症状もありません。

痛みを誘発するトリガーゾーンがあり、そこを刺激すると痛みが生じます。

三叉神経痛の治療法

薬物療法が基本となり、抗けいれん薬であるテグレトールが非常に良く効きます。

三叉神経の周囲にある血管が、三叉神経を圧迫して三叉神経痛が起こっている場合は、その血管からの圧迫を解除するための外科手術が行なわれることもあります。

三叉神経痛で受診するべき診療科

三叉神経痛は、歯科口腔外科や神経内科・脳神経外科が専門診療科となります。

いずれかの診療科を受診する様にしてください。

まとめ

目が動くことによって頭が痛くなるのは、目が疲れてしまっているからです。

できることならば、目を休める時間をなるべく作ることをお勧めします。

それが難しい場合は、スマホやパソコンなどを長時間使わないようにしましょう。

 

そしてそれと同時に、眼や頭、顔面部に痛みを生じる病気はいくつかあります。

似た様なところに痛みを生じるのですが、痛みの症状や現れ方に違いがあります。

背景に潜んでいる病気もそれぞれ異なりますので、適切な診療科を受診して治療を受けることが大切です。

参考文献

「口腔外科学 医歯薬出版株式会社」
「必修内科学 南江堂」
「医学大辞典 医学書院」
「標準眼科学 医学書院」
「歯科医のための耳鼻咽喉科学 医歯薬出版株式会社」

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