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本記事は、下記の医学文献などに基づき口腔外科医が執筆いたしました

春先になるとスギ花粉が大量に飛散し、花粉症で悩んでいる方には憂鬱な季節ですね。

一般的な市販薬では花粉症改善効果が見られない場合、舌下免疫療法という選択肢もあります。

今回は、あまり聞き慣れないこの舌下免疫療法の効果や副作用、そして費用などの情報を口腔外科医が総まとめしました。

治療を検討している方は、是非参考にしてみて下さいね。

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舌下免疫療法とは

 

免疫療法について

人々を悩ますアレルギー性鼻炎に、スギ花粉症があります。

スギ花粉症の治療法のひとつに、免疫(減感作)療法があります。

 

これは、100年以上前から行なわれているアレルギーの治療法で、アレルギーの原因物質であるアレルゲンを、少しずつ長い時間をかけて投与することで、免疫寛容という反応を利用して、身体をアレルゲンに徐々に慣らしていき、アレルギーを治す治療法です。

免疫療法は、花粉症の根治療法として長らく行なわれています。

 

いままでの免疫療法について

従来から免疫療法は行なわれていましたが、今回紹介する舌下免疫療法ではなく、アレルギーの治療薬を皮下部に注射する皮下免疫療法でした。

この方法でも効果的にアレルギーの治療は出来ましたが、長期間にわたり定期的に医療機関を受診しなければできない、注射に痛みを伴う、などの患者サイドの負担が大きいというデメリットがありました。

また、アナフィラキシーショックという最悪の場合死亡に至る可能性もある重篤な副作用のリスクも高く、一部の専門医でおこなれているのみでした。

 

舌下免疫療法について

以前から行なわれていた皮下免疫療法に代わって開発されたのが、注射を必要としない舌下免疫療法です。

内服薬といえば飲み薬が一般的ですが、舌下免疫療法では薬を飲むのではありません。

舌の下にアレルゲンを投与して使います。

舌の下に投与された治療薬は、舌の下の粘膜から少しずつ吸収されていき、効果を発揮します。

 

舌下免疫療法で使われる代表的な治療薬に、シダトレンという薬があります。

これは、わが国で初めて認可されたスギ花粉症の舌下免疫療法で使われる薬で、アレルゲンとしてスギ花粉症エキスを配合しています。

舌下免疫療法は自宅でも治療を受けることが出来るのがメリットなのですが、初めてのときは安全性を確保するために医療機関で使用してください。

2回目以降は自宅での服用になります。

 

治療開始後は、まずシダトレンを少量から投与します。

そして少しずつ2週間程度かけて増やしていきます。

これを増量期といいます。

3週目以降は維持期となり、同じ量を毎日舌下投与するようになります。

 

服用後は、2分間エキスをそのままの状態でお口に保つようにしてください。

そして飲み込んだ後は、少なくとも5分間は飲食だけでなく、うがいも控えましょう。

 

舌下免疫療法では、しっかりとした効果を得るためには最低でも2年間は継続して治療を受けなければなりません。

そして、その効果を持続させるためには、3〜5年間は舌下投与を続ける必要があります。

舌下免疫療法の効果

舌下免疫療法では、アレルゲンとなる物質(今回はスギ花粉症の治療なのでスギ花粉)を舌の下に投与します。

舌の下部の粘膜から吸収されたアレルゲンは、舌下リンパ節や頚部リンパ節などの非常に限られた部位で免疫寛容を引き起こします。

 

また、皮下免疫療法では患者さんに合わせてアレルゲンの投与量や投与のスケジュールを調整する必要がありません。

なお、あらゆる人に治療の効果が得られるとは限りません。

適切に舌下免疫療法を行なっていても、治療の効果が得られなかったり、アレルギーがなくならない患者さんがいます。

シダトレンというアレルゲンの2年間にわたる治験では、およそ15%に無効例が認められました。

 

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舌下免疫療法の副作用

副作用について

舌下免疫療法の副作用には、

  • お口の中のかゆみ
  • のどがイガイガする感じといった違和感
  • 食道や胃への刺激感

が認められています。

重篤な副作用は、現時点では日本国内においてほとんど報告されていませんし、海外での報告例でもアナフィラキシーショックの発症頻度は0.025%です。

 

これは抗菌薬や消炎鎮痛薬よりも低い数値なのですが、アレルゲンを直接投与して治療を行なうため、後述するアナフィラキシーショックを起こす可能性は否定できません。

そのために、過去にアナフィラキシーショックを起こした既往があったり、重症の気管支喘息を患っている患者さんへの使用は禁止されています。

 

アナフィラキシーショックのリスク

皮下免疫療法では、血液の流れによって全身に運ばれるため、アナフィラキシーショックという重篤な副作用を起こすリスクが高かったのに対して、舌下免疫療法では局所に限られるため、アナフィラキシーショックを起こしにくいという特徴があります。

 

ただし、あくまでも皮下免疫療法と比べて起こしにくいというだけの話です。

アナフィラキシーショックを起こす可能性はありますので、舌下免疫療法を行なうにあたっては、アナフィラキシーショックを起こしたときの対処法を十分理解しておかなければなりません。

 

特に注意すべき時

特に注意しておかなければならないのは、以下のような状況です。

  • アレルゲンを服用した後30分
  • アレルギー治療を開始した初期
  • スギ花粉の飛散時期

これらの時期は、特に副作用が発現しやすいのです。

 

副作用のリスクを下げるために

副作用のリスクを下げるために、特に以下の事項に注意して下さい。

  • アレルゲンを服用してからおよそ2時間ほどは、激しい運動やアルコールの摂取、入浴はさけてください。
  • アレルゲンを服用するときは、一人だけでいるときではなく、家族がいるところで日中にするようにしてください。
  • 気管支喘息の発作が起こっているときは使用を中止し、主治医に服用の可否を相談してください。
  • 体調の悪いときに服用するとアレルギー症状を発現するリスクが高まりますので注意して下さい。
  • 風邪やインフルエンザなど感染症にかかっているときも同じくアレルギー症状の発現リスクが高まりますので、主治医に服用していいかどうかを相談しましょう。
  • 舌下免疫療法を受けていることを示す患者携帯カードを常に携行し、何らかの異常が起こった時に、舌下免疫療法を受けているという情報を迅速に第三者に伝えられるようにしてください。

舌下免疫療法の開始時期は?

リスクのところでも記載しましたが、スギ花粉の飛散する時期は、副作用が発現するリスクが高まります。

そのため、スギ花粉の飛散する時期は舌下免疫療法を開始することは出来ません。

したがって、例年1〜5月頃は治療を開始することはできないと考えてください。

理想的な開始時期としては、11月頃までがおすすめです。

 

舌下免疫療法は子供でも大丈夫?

現在、舌下免疫療法は12歳以上の子どもであれば受けることが出来ます。

12歳以下の子どもには、認められていませんが、成人の使用例で良い結果が示されれば、将来的に適応範囲が広がる可能性があります。

 

舌下免疫療法の費用は?保険は適用?

舌下免疫療法も、健康保険の適応を受けています。

保険診療の自己負担割合が3割負担の場合は、受診頻度にもよりますが1月あたり概ね2000〜4000円くらいになります。

 

まとめ

舌下免疫療法は、現在スギ花粉症の治療に対して保険診療の適応を受けて実施されています。

従来の皮下免疫療法と比べて、痛みや通院の手間だけでなく、副作用の頻度も少ない優れた方法です。

ただし、すべての人に効果があるというわけではなく効果に乏しい場合もあります。

治療開始の時期も、いつでもいいというわけではなく、一年のうちで一部の期間に限られています。

それでも優れた方法であることには変わりはありません。

もし、スギ花粉症で悩んでいる場合は、根治療法の一つなので、一度検討してはいかがでしょうか。

参考文献
「日経メディカル 2014年11月号 No.564 アレルギー診療の新常識」

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