RSウイルスの症状・治療法・予防法を赤ちゃんと子供別に解説!

「RSウイルス」を正式に示すと「Respiratory Syncytial Virus」。日本語にすると「呼吸器合胞体ウイルス」と言います。

普段聞きなれない病名のRSウイルスですが、1歳までに50%以上の乳児が感染し、2歳までにほぼ100%の乳幼児が感染するという皆に降りかかってくるウイルスなのです。

また、人は何度もRSウイルスに感染します。でも大人になるほど症状は軽くなっていきます。

肝心なのは初めてRSウイルスに感染する乳幼児期での対応です。

このときに悪化してしまうと肺炎や気管支炎などの重篤な症状を引き起こす場合があります。

それではRSウイルスについて詳しく見ていくことにしましょう。

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RSウイルスの感染力と感染期間

大人がRSウイルスに感染しても軽い鼻かぜ程度ですむことがほとんどですが、乳幼児で初感染した場合は2~8日の潜伏期間を経て症状が出始め、発熱、鼻水、せきなどかぜに似た症状が10日程度続きます。

その後、大半の乳幼児は治癒するのですが、20~30%の乳幼児では気管支炎や肺炎に移行するとされています。

 

実際に乳幼児の肺炎の約50%、細気管支炎(気管支の細いところの炎症)の約50~90%がRSウイルス感染によるものとされています。

RSウイルス感染症は毎年6~7月ごろから始まり、秋にかけて増加し始め、12~翌年1月にピークを迎えて春にかけて減っていきます。

 

また、西日本から東日本へと広がっていく傾向があります。

咳やくしゃみでも感染(飛沫感染)しますし、ウイルスの付いた手指や食器やおもちゃなど物を介しても感染(接触感染)します。

 

以下のページにも詳細が説明されています。

「国立感染症研究所 RSウイルス感染症」

 

RSウイルスで赤ちゃん(乳児)に見られる症状

発熱、咳、鼻水

初期症状として上気道(喉から上の部分)の炎症が起こります。

38~39度の発熱、咳、鼻水が出てきます。

この症状は通常7~12日続きます。

 

肺炎・細気管支炎

上気道に起こっているRSウイルスによる炎症が下気道(喉から下の部分)に及ぶと肺炎や細気管支炎が起こりやすくなり、命にも危険が及びますので、緊急入院が必要となります。

なお、細気管支とは太い気管支からの枝分かれした細い気管支のことを言います。

細気管支炎ではゼーゼー、ハーハーという音(喘鳴)や呼吸困難が起こりやすくなります。

 

RSウイルス感染が引き起こす肺炎や気管支炎のような重篤な症状は、

  • 早産の赤ちゃん
  • 気管支や肺の形状に異常が見られる赤ちゃん
  • 心臓に病気のある赤ちゃん
  • ダウン症候群のある赤ちゃん

などで起こりやすいことが立証されています。

 

参考文献
「アッヴィ合同会社のポータルサイト」

 

中耳炎

1歳以下の赤ちゃんでは、鼻水に含まれているRSウイルスが耳管を通り、耳に入り込むことで中耳炎を起こしてしまうケースも多く見られます。

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RSウイルスの赤ちゃん(乳児)への治療のポイント

肺や気管支への炎症が起きた場合、呼吸により酸素を取り入れることが困難になるので医療機関に入院し、酸素吸入を行います。

脱水・栄養不良などが起こらないように点滴して栄養を補給もします。

また、痰が多くなり痰が空気の通りを邪魔することがあるので吸引器を使って取り除くようにします。

 

 

RSウイルスの予防法【赤ちゃんの場合】

RSウイルスに感染すると重症化しやすい、

  • 早産の赤ちゃん
  • 気管支や肺の形状に異常が見られる赤ちゃん
  • 心臓に病気のある赤ちゃん
  • ダウン症候群のある赤ちゃん
  • 免疫不全症の赤ちゃん

などには、遺伝子組み換え技術によって精製された「パリビズマブ(商品名:シナジス)」という医薬品をあらかじめ太ももに注射することで、RSウイルスの重症化を防ぐことができます。

 

ただしこの薬は、RSウイルスの流行シーズンに毎月注射を受ける必要があります(年6回程度)。

また体重1kgあたり15mg投与する必要があり、体重3kgの赤ちゃんで50mgほど投与することになります。

 

問題は薬剤の値段の高さです。

1単位(50mg)8万円で販売されていますので、生まれたばかりの赤ちゃんでも1回で8万円ほどかかります。

体重が重くなるほど薬剤投与量が増え、それに比例して値段も上がります。

 

ただし、以下の乳児は乳幼児医療費助成制度が適用され、自己負担金がなくなります。

以下が、「パリビズマブ(商品名:シナジス)」の投与対象患者になります。

・在胎期間28週以下の早産で、12カ月齢以下の新生児及び乳児
・在胎期間29~35週の早産で、6カ月齢以下の新生児及び乳児
・過去6カ月以内に気管支肺異形成症の治療を受けた24カ月齢以下の新生児、乳児及び幼児
・24カ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患の新生児、乳児及び幼児
・24カ月齢以下の免疫不全を伴う新生児,乳児および幼児
・24カ月齢以下のダウン症候群の新生児,乳児および幼児

 

ただし、乳幼児医療費助成制度の対象世帯に所得制限を設けている市区町村があり、その場合、高所得者ではこの制度が受けられない場合があります。

そのような場合は保険適用のみとなり2割負担となりますが、元の値段が高いだけに毎月数万円の出費がかかってしまうことになります。

 

RSウイルスで子供に見られる症状

赤ちゃんのころに1度RSウイルスにかかった子供でもRSウイルスに再び感染します。

 

でも、赤ちゃんの頃に比べると、自分の体をウイルスや細菌から守る免疫システムが発達してきていますので、RSウイルスに感染しても鼻水が出てきたり、喉が腫れて熱が出てきたり、気管支炎起こったりしますが、症状は軽くなります。

つまり「風邪の症状」です。

 

ただし在宅酸素を必要とするような慢性肺疾患の子供では、肺炎や細気管支炎などの重篤な下気道疾患にかかるおそれがありますので引き続き注意が必要となります。

RSウイルスで子供への治療のポイント

パリビズマブのようにRSウイルス感染症を予防できる薬はあっても、かかってしまったRSウイルスを治す薬はまだ開発されていません。

RSウイルスは細菌(微生物)ではなく、ウイルスなので抗生物質も効きません。

 

熱が出たら解熱剤、痰が出たら去痰剤というように、症状をやわらげる治療が基本となります。

普通に見られる「風邪の治療」に相当します。

 

とはいえ、慢性肺疾患の子供ではRSウイルスに感染することで、肺炎や細気管支炎などの重篤な下気道疾患にかかるリスクが高くなりますので、RSウイルスの流行シーズンには酸素やステロイド、気管支拡張薬などを吸入することを日本小児科学会では推奨しています。

 

 

まとめ

RSウイルスと言われてもピンとこない人も多いと思いますが、2歳までには誰もが感染する非常にメジャーな疾患です。

また大人になっても感染し、風邪の症状として現れます。

「インフルエンザではないけど原因不明の風邪をひいてしまった」などのようなケースがあれば、それはRSウイルス感染によるものかもしれません。

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