むずがゆかったり、痛くてひりひりしたりと、私たちにとても不快な思いをさせる虫刺されによる腫れやかゆみ。
いつしか人にすり寄ってきて、刺したり吸血したりして皮膚炎を起こさせる虫として、蚊を始め、ノミ・ダニなどが挙げられます。
森や林、花畑などに飛来するハチやアブに刺されれば、さらにひどく腫れ、強い痛みに悩まされます。
今回は、人を刺したり噛んだりして腫れやかゆみを起こさせる虫について見ていくとともに、刺されてしまったらどう対処すればよいかを考えていくことにしましょう。
ミミズ腫れでかゆみの原因となる虫
まず初めに、かゆみの原因となる虫はどのようなものがいるのでしょうか。
私たちの周りによくいる虫に絞って、順に解説していきます。
蚊
蚊に刺されると、しばらくすると赤くなり始め、それが丘のように盛り上がり、かゆみも出てきます。
そしてこのかゆみは数時間続きます。
これは即時型反応と呼ばれる、蚊に刺されたとき通常見られる反応です。
乳幼児では、刺されてから1~2日たったあとで発赤が出現する、遅延型反応が起こることがあります。
蚊に刺されるのに体が慣れていない幼児では、蚊に刺されると大きな水ぶくれを作ってしまう場合もあります。
一方、老年期になると蚊に刺されたあとの反応が出にくくなると言われます。
私たちを刺す蚊として、庭や公園にいる「ヒトスジシマカ」などのヤブ蚊類、室内では「アカイエカ」などのイエカ類などが主なものとして挙げられます。
ダニ
蚊に次いで私たちを刺してかゆみを起こさせる虫としてはダニが想起されます。
なお8本足のダニは、正確には虫(昆虫の足は6本)ではなく節足動物に属します。
私たちを刺すダニとしては、ネズミに寄生するイエダニ類が主なものとして挙げられます。
イエダニ類は体長が約0.7mmと非常に小さく、布団や毛布などに潜り込んで吸血するので、寝ているうちに「いつの間にか背中やわき腹をたくさん刺されていた」といったかたちで被害を受けやすくなります。
イエダニ類に刺された場合、かゆみの強い赤いボツボツができます。
古い一戸建てでネズミがいるような家で被害が出やすいそうです。
野山でのハイキングやレジャーでは、マダニ類に刺されてしまう場合があります。
マダニ類はイエダニ類よりも大きく体長が1~3mm程度あり、刺されることで重篤な感染症へと移行する場合があります。
たとえばライム病と呼ばれる病気ではマダニに刺されてから10日前後で刺された部位が丘状の赤い斑点が大きく広がり、倦怠感、発熱、筋肉痛などが1カ月程度続きます。
放置すると顔面神経麻痺、不整脈、心膜炎、慢性関節痛などに至る場合もあるそうです。
またマダニ類に属するツツガムシというダニに刺されると10~14日間の潜伏期間を経て38~40℃の高熱が出て、その後、全身に1~2cmの赤いボツボツが出てきます。
このような症状が出て何もしないでいると脳炎と肺炎を合併したり、心不全で死に至ったりすることもあるそうです。
ここまでくると単なる虫刺されと言って済ますレベルの話ではなくなってしまいます。
下記の「日本皮膚科学会」サイトでも、虫刺されについて詳しく学べますので参考にしてみて下さい。
参考文献
「日本皮膚科学会 虫刺され」
ノミ
屋外では、土壌内にいるノミが足元に飛びつき付着し、そこから吸血します。
あるいは、犬や猫を買っている家では、これらのペットに寄生しているノミが人に飛び移って吸血します。
ノミに吸血されると蚊に刺されるよりも、より色が濃くて小さい発赤が出てきます。
大豆大からサクランボ大の水ぶくれができるケースもあります。
また、その場では気づかず、吸血されて1~2日後に赤いブツブツができて気づく人もいます。
ハチ
人家周辺ではアシナガバチ、野山ではスズメバチ等の被害が多く起こります。
ミツバチは一回刺すと針が体からちぎれることで死んでしまいますが、アシナガバチやスズメバチは何回でも刺すことができます。
虫刺されの中でもハチに刺された場合の痛みはもっとも激しく強く、大きく腫れあがるのが特徴です。
クマバチやスズメバチなどの大型種に刺されると、患部がパンパンに腫れるとともに、発熱のために数日間寝込んでしまう人もいるほどです。
また、このようなハチに刺されてより重篤な症状になりやすいのは1回目よりも実は2回目以降。
2回目以降はハチの毒によるアレルギー反応が起きやすくなるので、ひどい場合は刺されて30分くらいたつとアナフィラキシーショックが起こり、意識消失、呼吸困難、血圧低下などを起こし、死に至ることがあります。
ブユ
ブユ類は体長が2~4mmの小型のハエのような形をしており、吸血性があります。
高原や山間渓流地域に多く、キャンプなどをしているときに刺されることがあります。
朝夕のうちに集団で襲う傾向があり、皮膚をかじり、流れ出る血を吸います。
わずかな痛みのあと、少量の出血があり、数時間後強いかゆみと赤みと腫れが出現します。
「ムヒ」で有名な「池田模範堂」さんのオフィシャルサイトでも、虫刺されについて詳しく見ることができます。
参考文献
「池田模範堂 虫さされ情報館」
ケムシ
ドクガ類の幼虫(ケムシ)のイガイガ部分は毒針毛と呼ばれ、これに触れると激しいかゆみとともに湿疹のような赤いブツブツが首や腕に出てきます。
庭の手入れなどをした後に発症することが多く、ケムシに触れた覚えがなくても皮膚炎を生じるケースが多いようです。
アリ
通常、屋外で見られるアリは刺しませんが、毒針を持ち、攻撃性が高く刺されると非常に激しい痛み、水疱状の腫れ、アレルギー反応(アナフィラキシーショック)などを引き起こさせるアリとして「ヒアリ」が知られています。
アメリカ、カナダの北米では毎年1500件程度の被害が報告されており、2017年には日本でも発見されました。
現在、殲滅を図るべく国全体で警戒態勢を敷いています。
以下の「東京都環境局」のサイトには、ヒアリについてとても詳しく解説されています。
参考文献
「東京都環境局 危険な外来生物」
虫刺されによるミミズ腫れの対処法・治療法
それでは、実際に虫に刺されてしまった場合の対処法や治療法はどのようにしたら良いのでしょうか。
大事な点を以下にまとめましたので、見ていきましょう。
かかないようにする
かゆいのでバリバリかきたいのですが、かくことによって幹部周辺の細胞組織が壊されて傷ついたり、爪や指に付着している細菌に感染して化膿したりしてしまいます。
我慢できないようなかゆさなら、かゆみを止める抗ヒスタミン薬やステロイド外用薬などを塗るとよいでしょう。
肌を露出しない、虫よけ剤を用いる
蚊やハチなどがたくさんいるような野外で活動するときには、肌の露出をできるだけ少なくすることが最大の防御策です。
さらに、携帯用の防虫スプレーなどをあらかじめ塗布しておけば防御効果が高まります。
なお多くの防虫剤にはディートという化学物質が含まれており、
「小児の顔には使わないこと」
「生後6カ月未満の乳児には使わないこと」
などの注意事項があります。
すぐに患部の毒を除き清潔に
ドクガ類の毒針毛に触れた場合、セロハンテープを使って皮膚に入り込んだ毒針毛を取り除きます。
そして患部を石鹸でよく洗い、水でしっかり洗い流し、毒の成分が残存しないよう注意して経過を観察するようにしましょう。
医療機関を受診する
毒性の強い虫に刺された場合、アナフィラキシーショックのような強いアレルギー反応が起こったり、脳炎や肺炎の他、重篤な合併症を起こしてしまったりするおそれがあります。
患部の強い腫れとともに高熱が出てくるような場合には、すぐに皮膚科などの医療機関を受診し、しっかりした検査と治療を受けるようにしましょう。
以下の「武田コンシューマーヘルスケア」さんのサイトでは、桐生大学学長の井上修二先生監修による虫さされの対処法が掲載されています。
虫刺されによるミミズ腫れにおススメの薬
それでは最後に虫刺されにおススメの薬を紹介いたします。
その症状に合った使用を心掛け、少しでも虫刺されの被害を和らげて下さい。
抗ヒスタミン薬(ムヒS など)
軽症の虫刺されは市販のかゆみ止め外用薬で十分です。
かゆみ止めのロングセラーとして有名なのがムヒ。安価な市販薬で入手しやすいのがポイントです。
有効成分のジフェンヒドラミンはかゆみの原因物質であるヒスタミンのはたらきを抑えるはたらきがあります。
メントール、カンフルなどにもかゆみを抑える効果が期待できます。
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【第3類医薬品】ムヒS 18G
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ステロイド外用薬
腫れ、かゆみの症状が強く、熱を持ってきた場合には、かゆみと炎症を抑えるはたらきのあるステロイドを塗ることで症状が治まります。
市販薬では、ムヒSにかゆみや炎症を抑えるストロイド成分(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)を配合した液体ムヒαEXなどがあります。
医療機関では、症状がひどいと判断した場合、市販薬よりも抗ヒスタミンやステロイドなどの有効成分が多く含まれている外用薬、さらにこれらの成分が含まれる飲み薬を処方されることになります。
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まとめ
蚊をはじめ、比較的日常で見られる虫刺れについて紹介してきました。
他にも人を吸血したり、刺したりしてかゆみ、赤み、腫れなどを起こす生き物としてシラミ、ムカデ、アブ、クモなどがあります。
野外でのアウトドアキャンプなどは、これらの虫に刺される被害が発生しやすいので気をつけましょう。
また、ペットを飼ってしてダニやノミなどの被害にあいやすい環境であれば、駆除対策を検討しましょう。