RSウイルス感染症は、大人にとってはたいしたことのない病気であっても、子供にはとても辛い症状を引き起こす病気です。
子供がRSウイルスに感染してしまった場合はどう発症し、どのような症状が出るのでしょうか?
また、乳児ならではの注意点や治療法も紹介していきますので、ぜひご参考にして下さい。
赤ちゃんに発症する症状
RSウイルスは、赤ちゃんにとって最も身近なウイルスです。
大人が感染しても重篤な症状にはならないため、そのウイルスの存在をあまり気にしていませんが、赤ちゃんがいるご家庭では最大限に注意が必要です。
このウイルスは、生まれて間もないほどに感染しやすく、症状が重症化してしまうという特徴を持っています。
RSウイルスに一番感染しやすいといわれているのは、生後すぐから3か月までの赤ちゃんです。
そんな赤ちゃんにとって脅威ともいえるRSウイルスですが、感染すると次のような症状があらわれます。
一番解りやすいのは咳です。
RSウイルスは呼吸器系に影響を及ぼすため、しつこい咳が出るのです。
それに伴い、のどの腫れや痛みも出ます。
赤ちゃんの口をあけて、のどを見てみてください。
真っ赤に腫れ上がっていれば痛みもあるでしょう。
そして痰も出るようになります。
赤ちゃんは痰を意識的に出すことができませんから、痰が酷くなると苦しくなってしまうことも考えられます。
咳が徐々にひどくなり、呼吸の度に喉がヒューヒュー鳴るようになっていたら、気管支炎を起こしている可能性があります。
RSウイルスから気管支炎や肺炎を起こすと入院治療が必要になりますから、一刻も早くかかりつけの病院で診てもらいましょう。
さらに鼻水や発熱といった症状も見られます。
鼻水が酷くなり、鼻が詰まることでも呼吸が苦しくなりますし、のどのほうに降りてきて咳を悪化させるということも考えられます。
苦しいようなら、鼻吸い器を使って時々鼻水を取ってあげましょう。
それだけでも呼吸は少し楽になります。
高熱が出ている場合は、解熱剤を使うことも大切です。
熱が上がったままでいると食欲も落ち、赤ちゃんの体力は徐々に奪われていきます。
医師の処方通りに解熱剤を使用し、一時的に熱を下げてあげることで少し元気が出て栄養の補給もできるようになるでしょう。
そして、熱が出ている間は脱水症状を起こすこともあるので、水分補給が大切です。
赤ちゃん用のイオン飲料など、体に吸収しやすい水分を飲ませるようにして脱水症状を防ぎましょう。
小学生に発症する症状
RSウイルスは抗体ができても何度も感染してしまうという特徴があります。
しかし、感染を繰り返すごとにウイルスへの抵抗力は上がり、症状も徐々に軽くなっていきます。
幼児ではまだ注意が必要なRSウイルスも、小学生にもなると普通の風邪と同じようにいつの間にか治ってしまいます。
健康な小学生が感染しても重症化することもなく、影響は小さいものですが感染するとどのような症状が出るのか見てみましょう。
まずは鼻水が出て、次に咳がでます。
発熱することがあったとしても高熱になることはなく、すぐに下がります。
鼻水が治っても、咳の症状だけしばらく続くこともあるかもしれません。
赤ちゃんと同じようにのどの炎症もあります。
うがいで喉を清潔に保つことを心がけましょう。
注意したいのは、花粉症などのアレルギーを持っている子供です。
花粉症の発症時期にRSウイルスにかかると重症化するケースも近年増えており、気管支炎や喘息に移行してしまうこともあります。
花粉症の季節には感染を避けるため、予防対策をしっかりと行いましょう。
RSウイルスは乳児が感染しやすい病気なのです
RSウイルスに感染する恐れがあるのはすべての年代共通ですが、感染のしやすさからいうと乳児が一番感染する確率が高い病気です。
RSウイルスは、生まれてから2歳になるまでの間にほぼすべての人間が感染するといわれる病気です。
しかし一度感染すると抗体が作られるため、次に感染するときには症状が軽くなるという特徴があるのです。
ただし、初めてRSウイルス感染症となった乳児は症状が強くあらわれることが多いです。
そのため肺炎や気管支炎を伴い、最悪死に至るケースもある為注意が必要です。
この感染症は、かかる年齢や月齢が早ければ早いほど危険なことが特徴です。
それなのに、年齢が小さいほどかかりやすいという厄介な病気です。
ですから、小さな赤ちゃんを持つご家庭では特に注意してください。
RSウイルスは毎年秋から春にかけて流行するという特徴があります。
その時期の人混みへの外出は控え、手指の消毒をこまめにするなど、感染しないための予防対策をしっかり行いましょう。
特に注意が必要な乳児とは?
赤ちゃんによっては、RSウイルスの感染によって命の危険も伴う場合があります。
たとえ健康に生まれた赤ちゃんであっても、生後すぐの新生児期に感染すると気管支炎を起こす確率はとても高いのです。
そして、死亡率はなんとインフルエンザよりも高いという恐ろしい感染症なのです。
更に気を付けなくてはいけないのは、早産や特定の先天性疾患を持って生まれた乳児です。
早産で生まれた場合、母親からの抗体をしっかりと受け継げないために病気にかかりやすいことがあります。
そして、呼吸器系がきちんと作られていない場合もあり、呼吸器系にダメージを与えるRSウイルス感染症では重症化しやすいのです。
また、心臓や肺、神経などに疾患をもって生まれた赤ちゃんもリスクが高く、そのような場合は家族みんながRSウイルスに感染しないように気を付けることが大切です。
乳児にはどのような治療を行うの?
RSウイルスに感染すると、発熱し咳や鼻水が出るという症状が表れます。
RSウイルスには特効薬がないため、すべては対症療法のみとなり治療は症状によって異なります。
高熱が出ている場合には解熱剤も処方されるでしょうし、鼻水や咳を止めるお薬や気管支を広げるお薬も処方されるかもしれません。
自宅療養の場合はこれら病院で処方されたお薬を、用法用量を守ってきちんと飲むというのが主な治療になります。
病院での診察の際に鼻水がひどい場合、鼻水を吸引してもらうこともできるかもしれません。
なるべく早く治癒するために、自宅療養の際にはしっかりと体を休ませて、こまめな水分補給を心がけるようにしましょう。
すでにウイルスによって気管支炎や肺炎となっている場合には入院治療が行われます。
入院すると、食事のとれていない患者に対しては点滴により栄養と水分の補給がされることもあります。
RSウイルスによって呼吸も苦しくなっている子供には、定期的に酸素濃度がチェックされ、濃度が足りない場合は人工呼吸器が必要となることもあります。
基本的には、入院したとしても治療方法は対症療法となります。
入院することのメリットは、子供の様子に変化があった場合にすぐに対応してもらえるところでしょう。
入院して治療しましょうと言われたら、親としては正直大変ですよね。
でも、子供のつらい症状をなるべく早く治してあげるためには必要な措置なのです。
まとめ
RSウイルスの感染には特に注意したいのは赤ちゃんです。
小学生になってもアレルギーを持っている子は、重症化する恐れもあるということですね。
大きくなったから大丈夫!と油断せずに、子供の風邪のような症状には十分に注意するようにしましょう。