ショックな事や傷つくことがあると左胸のハートがズキズキ…なんて表現されたりもしますが、実際の心臓は胸のほぼ中央、肋骨の間で鼓動しています。
一番負荷の大きい左下の「左心室」が最も筋肉量が発達しているため、確かに形はいびつなハート型に見えなくもないですね。
そして心臓はハート(心)と密接に結びついた器官なので、胸がズキズキというのも決して間違っていません。
けれどその痛みやもやもやは本当にハートの痛みなのでしょうか?
もし心臓そのものが病を抱えているのが原因だとしたらとても恐ろしいと感じませんか?
やはり心臓の病気と聞いて一番に連想するのは「命の危機」です。ここでは心臓の違和感を覚えた時のために知っておきたい代表的な可能性について見てみましょう。
心の影響でもやもやする
≪心臓神経症・不定愁訴・自律神経失調症・パニック障害≫
先に述べたように、心臓は精神状態の影響を受けやすい器官です。
そのためなんとなく心臓の辺りににもやもやした感じがする…という症状がストレスで弱った心の不調の表れだった、ということも珍しくありません。
そういった症状は「心臓神経症」や「不定愁訴」などと呼ばれることもあり、心臓そのものには原因がなくとも痛みや動悸息切れなどの症状が出るのです。
心臓病ではないからと言って放っておいてしまうとさらに重大な病気に発展してしまうこともありますので、心療内科などでの適切な治療が必要になります。
ストレスやホルモンバランスにより自律神経が乱れる「自律神経失調症」は心臓の動きを司る自律神経にも影響を及ぼします。
また精神疾患の一つ「パニック障害」には動悸息切れや胸の痛みといった症状があることが知られています。
このように心臓の違和感には、心臓以外の場所が原因で起こる症状が少なくありません。
狭心症
時々、突発的に胸が圧迫されるような痛みが走る、というのが狭心症の代表的な症状です。
痛みの程度はケースにより様々で、中には我慢できないような痛みが胸のあたりや上半身の広範囲で起こることもあります。
そして痛みは長くとも15分程度しか続きません。これは心臓の冠動脈が狭まるため血液量が減って起きることが原因とされています。
高血圧、糖尿病、動脈硬化などに関連して起こることが多く、重大な病の可能性は十分にあるのであまりに症状が激しい時は早急な受診が必要です。
不整脈
常に一定に鼓動する心臓のリズムが乱れるのが不整脈です。
不整脈が起きる原因は様々で、ストレスによって起こるもの、体質、加齢、疲労、高血圧、甲状腺異常などが考えられます。
もちろん心臓そのものや肺の疾患の場合もあります。
不整脈があっても特に治療の必要のないケースも多々ありますが、あまりに動悸息切れが激しい、意識を失うなどの症状がある場合は要注意です。
心筋梗塞
日本人の死因第2位を占める恐ろしい心疾患です。
これは冠動脈に血栓が出来ることで心筋への血流が遮断され、心筋が壊死を起こし最悪の場合は死に至ります。
一般的な症状としては突然えぐられる様な非常に強い痛みが起こること挙げられますが、高齢者や糖尿病患者の中には息切れ・違和感といった症状を感じることもあります。
救急車を呼び医療機関へ急ぎましょう。
血圧の異常
高血圧・低血圧も動悸の原因となります。
このような場合は血圧の異常が起こる原因を調べ、治療により血圧のコントロールをすることが必要となります。
体質もありますが、いずれも食生活や睡眠バランスなどの生活習慣が関わっている場合があるので、生活を見直し、健康的な体質作りを目指しましょう。
まとめ
心臓に違和感が起こるからと言って、すぐに死に至るわけではない病気もあると分かりました。
しかし頻度が多い時や違和感が強い時にはそこに重大な病が隠れている可能性はあります。
心臓の違和感で診察を受ける時は「いつ」「何をしている時に」「どの辺りに」「(チクチク、ズキズキなど)どんな」「どの位」の違和感や痛みがあったのかを詳しく話せるようにしておきましょう。