RSウイルスは子供がかかりやすい病気で、2歳までに多くの子供がかかるといわれれています。
くしゃみ、鼻水、鼻づまりなど風邪症状と似ているので、うっかりしているとRSウイルス感染を見逃してしまうこともあります。
健康な乳幼児であれば重症化することはほとんどありませんが、低体重児や免疫力の低下した子供が感染すると重症化することがあるので注意が必要です。
今回は、RSウイルスに用いられる薬を子供と大人別に分けて、更に副作用についてまで解説していきたいと思います。
RSウイルスの治療に使用する薬【子供の場合】
乳児や小さな子供がかかりやすいRSウイルスですが、保育園など集団生活を行うようになるといつの間にウィルスに感染していることもあります。
主に咳やくしゃみ、鼻水など呼吸系を中心に症状が出て、何度も繰り返す病気です。
一番初めにかかった時は症状がひどく、何回もかかるうちに症状は軽くなります。
また、1年に1回だけではなく何度もかかることがあるので、保育園などに通っている子供がいる場合、注意したい感染症ですね。
病気にかかると病院などでウィルスや細菌に対する薬を処方されますが、RSウイルスに効果のある治療薬はあるのでしょうか?
現在のところ、RSウイルスに有効な薬はないといわれ、症状に対する対症療法が中心となります。
抗生物質は細菌感染症には効果を発揮しますが、ウィルスの感染症には効果がありません。
RSウイルスにかかってしまったら、症状を和らげるための薬を用いることがほとんどです。
赤ちゃんや小さな子供の場合、大人と同じ錠剤では上手く内服することができないので、シロップや粉末状などで処方されることがあります。
ここでは、子供に用いられる対処薬を紹介します。
1、解熱鎮痛薬 アセトアミノフェン(カロナール)
RSウイルスの症状に発熱が挙げられますが、熱があり頭が痛いとった症状がある時に処方されるのがカロナールです。
カロナールは解熱鎮痛薬で子供が熱を出したり、頭痛など痛みがある時に用いられる薬です。
効き目が穏やかで安全性も高いため、子供が熱を出した時に多く処方されます。
血管を拡張させることで熱を体の外に逃がして熱を下げますが、小さな子供や赤ちゃんの場合は座薬が処方されることもあります。
2、鎮咳去痰薬(メジコン・ムコダイン・ビソルボンなど)
メジコンやムコダインなどは咳を鎮めて痰を出しやすくするための薬です。
それぞれの薬によって作用が多少異なりますので解説します。
ムコダイン
痰の量が多く、粘り気の少ない痰に効果的な薬です。
痰の粘り気となる物質を抑えて痰を出しやすくしてくれます。
薬の説明は以下のサイトも参考にしてくださいね。
メジコン
メジコンは、咳止めの薬で幅広い年齢に処方される薬です。
咳の出る神経に働きかけて、咳が出るのを抑えてくれます。
ビソルボン
安全性に優れ、昔から使われている痰を出しやすくする薬です。
痰の粘り気を取り除いて、痰を溶かして出しやすくする働きがあります。
特に痰の切れが悪い時に内服すると気道の粘膜に作用して、粘り気の原因となる物質を分解して粘度を下げてくれます。
ビソルボンには吸入薬や細粒、錠剤などがあります。
3、気管支拡張薬(ホクナリン、メプチン)
ホクナリン
ホクナリンには、ホクナリンテープがあり気管支を広げる働きがあります。
風邪などで咳がでたり、喘息などで気管支に炎症が起こると気管が狭くなってしまいます。
炎症により気管支が狭くなると、空気がスムーズに通過できなくなるため息苦しさを感じるようになります。
ホクナリンは、狭くなった気道を広げることで空気を通りやすくして息苦しさを改善してくれます。
子供が風邪をひいて気管支炎など起こした時に処方されるテープです。
メプチン
メプチンは気管支を広げる薬で、気管支喘息など気道が狭くなる病気の時に使用する薬剤です。
吸入することにより粘膜に素早く吸収され、呼吸が楽になります。
RSウイルスの治療に使用する薬【大人の場合】
RSウイルスは子供がかかりやすい代表的な病気ですが、大人も気づかない間に感染していることがあります。
大人の場合は何度もかかることで免疫ができて、咳や鼻水、発熱といった風邪症状で済んでしまうことがほとんどです。
大人がかかっても子供と同様にウィルスに対する治療薬がありません。
症状が風邪と似ていることから、ウィルスに感染していると思わずに抗生物質を処方されてしまうこともありますが、ウイルスに抗生物質を使用しても効果はありません。
これからご紹介するのは、主に症状に対する対処薬になります。
解熱鎮痛薬
アセトアミノフェンの風邪薬として、
- カロナール錠
- タイレノールA
- ピリナジン
- パブロンゴールド
などがあります。
アセトアミノフェン以外では、ロキソニンなども頭痛や発熱などに効果があります。
カロナールは、穏やかな作用で副作用が少ないことから小さな子供に使われることがありますが、体に炎症が起きて痛みがひどい時にはロキソニンを使用すると効果的です。
咳止めの薬
咳止めの薬にアスベリンがあります。
風邪をひいた時や喉が痛い時、気管支炎など咳が出て痰が出にくい時に処方されます。
また、痰を切りやすくするためのムコダインなども処方されます。
気管支拡張剤
気管支拡張剤としてメプチンがあります。
風邪やウィルスに感染すると、気管支に炎症が起こることがあります。
炎症が起こると、気管支が狭くなり呼吸がしにくくなります。
メプチンは、狭くなった気道を広げて呼吸を楽にしてくれる作用があります。
RSウイルスの薬で副作用の心配はある?
ここで、これまでご紹介してきた薬の副作用について触れてみたいと思います。
アセトアミノフェン(カロナール)解熱鎮痛薬の副作用
カロナールは、胃腸などの消化器系に副作用が少なく、安全な解熱鎮痛薬のため妊娠中や授乳中、赤ちゃんなどに処方される薬です。
穏やかな効き目で熱や痛みを取り除いてくれます。
鎮咳去痰薬の副作用
鎮咳去痰薬にムコダインは、安全性に優れているため赤ちゃんや子供などにも処方される薬です。
小さな子供に処方する場合は、シロップなどとして処方されます。
副作用は、食欲不振や腹痛、下痢と言った消化器系症状が主になります。
赤ちゃんに使用できるくらい安全な薬ですが、妊娠中の方に対しての安全は確立されていないため、産婦人科の医師と相談するのが良いと言えます。
授乳中の方は問題ないといわれていますが、念のため授乳中であることを医師に伝えるようにしてくださいね。
気管支拡張剤の副作用
ホクナリンテープは、子供や赤ちゃんの喘息や気管支炎などに処方される貼り薬です。
皮膚からゆっくり吸収されるので副作用は少ないですが、皮膚が敏感な赤ちゃんの場合、貼った場所がかぶれたり赤くなることがあります。
同じ場所ではなく、貼る場所を変えるようにしましょう。
副作用は少な目ですが、内服用法や用量など注意事項を守らない場合は副作用に繋がる恐れがあります。
内服する際は、医師の指示に従い薬を飲むようにしてくださいね。
RSウイルスに対する対症療法
これまで紹介してきた薬はRSウイルスの対症療法として服用します。
それでは最後に、その他も含めたRSウイルスの対症療法をまとめて紹介していきましょう。
内服療法
本記事のテーマです。
発熱や咳など風邪症状に似た感染症で、ウィルスに効果的な薬がないため症状を抑える薬が処方されます。
医師の指示に従い薬を内服しましょう。
栄養バランスの摂れた食事
体調が悪いと食欲も低下しますよね。
食欲がないからと言って何も食べないのは、栄養が偏ってしまうばかりでなく、胃の粘膜にも負担をかけてしまいます。
豆腐や納豆などの大豆製品や、卵や白身魚と言った良質のタンパク質、ビタミンCを多く含む野菜や果物を摂ると回復が早まります。
但し、下痢や吐き気などの症状がある場合は、無理に食べず、お粥やにゅう麺、おもゆ、野菜スープなど消化のよい食品を選んで食べるようにしてください。
水分の補給
熱が出ると汗をかいたり脱水状態になります。
体が脱水になると、頭痛や吐き気をもよおしたり症状が悪化してしまうことがあります。
また水分が不足すると、痰に粘り気が出て痰が出にくくなります。
喉が乾燥するとウィルスが付着しやすくなるため、こまめな水分補給を心がけるようにすると良いですね。
十分な休息
病気の時は免疫力が低下します。
十分な休息は、免疫力を高めて病気に対する抵抗力もアップします。
睡眠を十分にとることで病気の回復が早まりますよ。
うがい・手洗い
うがいや手洗いは感染症予防に大切なことです。
うがいは、喉に付着したウィルスなどを排除するのに役立ち、咳などの症状を和らげてくれます。
まとめ
RSウイルスの治療薬について紹介しました。
RSウィルスに直接効く薬はありませんので、症状を抑えるための対症療法が中心になります。
薬を内服することも大切ですが、同時に栄養の摂れた食事やたっぷりの睡眠で体調を整えるようにしてくださいね。
赤ちゃんのいる家庭では、症状が悪化しないように状態を観察するようにしてください。